度重なる"隠蔽"も影響?「2023年度就航」のはずが2年以上も遅延…大分で復活した絶滅危惧船「ホーバークラフト」。なぜここまで遅れた?
そこで、グリフォン社に新造船3隻を発注、はるばるイギリスから輸送してもらうこととなった。
しかしイギリスで建造中に、船体の浮上に関わる重要な部品が破損。1号船「Baien」は当初の予定から2カ月遅れてイギリスを出発、2023年8月に、ようやく大分に到着した。

ただ、この時点ではさらなる開業遅れを想定しておらず、筆者が参加した歓迎式典でも、関係者から「就航までかかってもあと数カ月、早々に就航できます」との回答が得られていた。なお、大分県・佐藤樹一郎知事もこの時期に「2023年度内か、2024年4月1日に動き出すと、大変いいなと思う」と、やや他人事のようながら、期待を込めたコメントを残している。
ホーバークラフト、操作が難しい? 訓練初日から激突、難航した訓練

ところがこの後、ホーバークラフトは度重なる事故・トラブルに見舞われる。
まず大分に到着したばかりの1番船「Baien」が、2023年11月の操縦訓練初日に発着場のガードレールに衝突、船体の一部が破損する。イギリスから技術者を呼び寄せて修理にあたったものの、船体の修理完了は2024年8月までずれ込み、就航見込みは「2023年度」から「2024年秋」まで伸びてしまった。
「Baien」が修理に入っている間も、2番船・3番船での訓練は引き続き行われていたが、2023年11月から2024年4月にかけて、接触事故を“この当時公表されているものだけで”4度も起こした。
原因として、大分空港側のターミナルと海上区間をつなぐランプウェイ(地上走行路)のS字カーブ通過の難易度の高さがあった。
ホーバークラフトの陸上移動は「浮いた状態で、プロペラで方向を決める」ため操縦の難易度が高く、難しい習熟訓練の最中に起きた事故が、すぐに可能と思われた運航開始を遅らせる原因となった。
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