何が有害か、何が安全かは「想像的」に決定されるのだ。食べ物の影響を過大評価する「フードファディズム」はその一種といえる。というより「ファディズム(過剰な傾倒)」的な振舞いは全方位に張り巡らされるようになったのである。
「失われた30年」の焦土から芽吹いたポピュリズム
参政党は、これらの「不安からの連帯」に対する潜在的なニーズを鋭敏に感じ取り、支持層の拡大に成功したのだろう。前回触れた「プロシューマー的な解決」は、まさにこの「不安からの連帯」をポジティブなものに変える魔法なのだ(「参政党人気」の深層にある深刻な孤独の“正体”)。
参政党(神谷氏)が発信したメッセージに対して、嘘やデマを流すなと猛反発が巻き起こっているが、地方における地道な組織づくりが基盤にあることを忘れてはいけない。支持者の根本にある感情は本物であり真正のものである。だからこそ厄介なのである。
筆者は2022年の参院選後、ある雑誌から参政党に関する記事の執筆を依頼され、その原稿の末尾に「まるでコロナ禍が終われば熱狂も冷めるといった一過性の現象と判断するのは早計だろう。なぜなら、社会そのものが崩壊の一途を辿っている現状に変わりはないからである」と釘を刺した。
ベックは、「不安からの連帯」についてあまり良い展望を示してはいない。だが、少なくともそのメカニズムを知ることは内省の契機にはなり得る。
「失われた30年」の焦土から芽吹いたポピュリズムとわたしたちがどう向き合っていくのかが問われているといえる。
【もっと読む】「参政党なんか支持する人は頭が悪い」と批判する人もいるが…非常に短絡的な考えだ! 「参政党人気」の深層にある深刻な孤独の“正体” では、参政党が参院選の台風の目になりつつある背景について、陰謀論やコミュニティに詳しい批評家の真鍋厚氏が詳細に解説している。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら