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習近平失脚説を「七段構え」の方法で読み解く、派閥や権力闘争以外の分析から見えてくる中国政治の今

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「ヒト第一主義」に代わって、筆者が提案するのは「七段構え」の分析枠組みである(七段構えの名称はむろん秋山真之の戦法に由来する)。といっても、特段難しい内容ではない。

中国政治を「七段構え」で分析

関連する個別の知識や情報を7つの項目(①歴史、②構造、③制度、④政策、⑤組織、⑥状況、⑦人)に分類列挙して、個々の論点の検討とそれに基づく全体評価を行うというものである。①~⑦は、政治的時間軸に基づき階層的依存関係にあり、基本的には、下位にいくほど短期的な変化の影響を受けやすい。例えば、③が変化すれば、政治的自立性がより低い④や⑤にも、一定の変動が観察されるはずである。

この「七段構え」の分析枠組みは、分析の汎用性はもちろん、中国の支配体制における政治的変化の次元・大きさ・争点の見極め、および、事前の予測とは異なる事象の発生や誤った判断を下した際の再検証と分析の洗練化に有用である。外務省や防衛省、メディア、シンクタンク、商社など、中国政治の動向分析にかかわる官民の各組織は、公開情報に加えて、内話などそれぞれが独自に入手し保有する関連情報を、上記7つの論点に即して応用すれば、予測や評価の精度をさらに高められる。

少なくとも、冷戦期のソ連研究で用いられたクレムリンに出入りする党の最高幹部の動向から分析するクレムリノロジーや中国分析のペキノロジーのような素朴な見立てよりはマシであろう。

以下では、冒頭に示した「習近平権力低下」説を例題として、この方法を適用・検証してみよう。

(1) 歴史
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