貿易赤字になっても日本に危機はこない--リチャード・カッツ

野田佳彦首相は、ギリシャの轍を踏まないためには日本は15年までに消費税を現行の2倍の10%へと引き上げねばならない、と主張している。国民の不安をかき立てて、不人気な増税を納得させようとしているのだ。しかし、野田首相の戦術は裏目に出ているように見える。最近の日本経済新聞の調査によると、回答者の59%が、「やがて増税が必要になる」との見方を支持しているものの、野田首相が提唱する早期の増税については、49%対40%で反対が上回っている。

野田首相が言うように、早々と14年にも2段階の増税に着手するのは得策ではない。むしろ、景気が一定の回復基準を満たした時点で増税を実施する、という法律を今こそ制定すべきだ。さもなければ、日本政府は1997年の間違いを繰り返すことになる。

97年には、増税の時期を早まったために、緒に就いたばかりの景気回復の腰を折り、リーマンショック後の不況を除けば戦後最悪の不況を引き起こしてしまった。正しいことを、不適切なタイミングや順序で実行することにより、結果的に大失敗に終わる。それは過去によく見られた悲劇である。

Richard Katz
The Oriental Economist Report 編集長。ニューヨーク・タイムズ、フィナンシャル・タイムズ等にも寄稿する知日派ジャーナリスト。経済学修士(ニューヨーク大学)。当コラムへのご意見は英語でrbkatz@orientaleconomist.comまで。

(週刊東洋経済2012年3月31日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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