後々になって大きな問題が表面化する…「終活」を一人で全部しようとする人の"落とし穴"

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では具体的にどのように「親子終活」を進めればいいのでしょうか。まず一般的な終活では、多少の違いはあるものの一般的に次の取り組みをすることが多いです。

①基本情報の整理(住所、連絡先、家族構成など)

②財産・契約関係の洗い出し(預貯金・証券口座や不動産、借入金や保証債務など)

③身の回りの品や遺言書原案などの作成(書類や思い出の品の整理や相続人の確認など)

④デジタル資産などの整理(スマホやパソコン、課金サービス、パスワードの確認など)

⑤家族や専門家に頼れる制度を利用する(自筆証書遺言・公正証書遺言の作成、任意後見契約など)

⑥葬儀やお墓などの取り決め(葬儀の希望、埋葬の選択など)

このように見るとたくさんの作業があることに圧倒されるかもしれませんね。

基本的に親子終活も取り組む内容は同じですが、これらの作業を親子で分担、協力することで効率的に進めることができます。

基本的には親子で①、⑤、⑥に取り組み、親が主体となって②、③に取り組み、子が主体となって④に取り組むといったイメージです。これらはあくまで一例なので、子が主体となる項目に①、②を含めてもよいでしょう。

こうして遺言書や荷物の整理、お墓について考えを生前のうちに親子で共有しておくことで、遺産相続で揉めるリスクが大幅に減りますし、親が望む形で最期を迎えられる安心感を得られるというわけです。

子どもにとっては、親の意思に反した医療や介護に過剰な費用をかけずに済むというメリットも挙げられます。

本音の話し合いをしながら、家族のつながりも深まる

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さて、親子終活の最終的なゴールは2つです。

1つは将来への安心を手に入れること。もう1つは家族の絆を深めること。

将来への安心は、財産を洗い出して整理し、介護や医療に関する希望を伝え、お葬式やお墓についての意向を共有し、家族で終活に取り組む。この共同作業を通して、将来起こりうるさまざまな不安や心配事を事前に解消していくのです。

また、一般的な終活では、ご自身の思いを子どもに伝え、親子それぞれの希望や意見を聞くというのはあまりないかもしれません。しかし、親子終活をすれば、家族の思い出を話題にコミュニケーションが増えたり、将来の家族の形が共有できたりします。

「終活」というイベントを通して、親子で協力しあって、家族の絆を深めていくことができます。

伊藤勝彦 弁護士法人みお代表/弁護士

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1973年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業の年に司法試験合格。
弁護士・司法書士・社会保険労務士・行政書士など多方面のプロフェッショナルを擁する総合法律事務所の代表を務める。弁護士活動の初期から「終活」関連分野に注力。遺産分割や遺留分侵害額請求に関する調停・訴訟に多数関与し、依頼者の代理人として相続人全員が納得できる解決に導いてきた。その経験から、遺言や相続に関わる社会的関心の高い事件について、テレビ局のニュース番組で解説なども行う。信条は日々相談者の困難や不安に寄り添い、頼れる存在であり続けること。著書(共著)に『サービス残業という地雷』(幻冬舎)がある。

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