スズキ初のフルEV「e ビターラ」発売に先駆け先行公開!その「走り」の完成度は?

✎ 1〜 ✎ 122 ✎ 123 ✎ 124 ✎ 125
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

特に全輪駆動車の場合、前後輪への駆動力配分のコントロールに心を砕いたという。主題は「操縦安定性と悪路走破性の両立」(スズキの開発者)。

ドライブモードの「オート」モードを選んだ場合、一定走行時の駆動力配分は前54:後46で、加速時は後輪へ多めにトルクが配分され50:50となる。

滑りやすい路面では、70:30へと前輪重視へと配分が変わる。

サーキットでも楽しい制御

悪路では「トレイル」モードを選択できる。特徴はブレーキをうまく使って駆動力を保持すること。

ダイヤル式ギアセレクターの横にドライブモードのセレクターがそなわる(写真:スズキ)
ダイヤル式ギアセレクターの横にドライブモードのセレクターがそなわる(写真:スズキ)

悪路では片輪が浮いて接地性を失うことがある。そうなると、通常デフが働き、接地している車輪にも駆動力が伝わらなくなってしまう。

そこで、トレイルモードでは浮いた車輪に自動でブレーキをかける。リミテッドスリップデフの働きをさせ、接地している車輪の駆動力は確保するのだ。

後輪の駆動力を積極的に使う全輪駆動車では、コーナリングにおいても、操縦安定性が高くなる。これも後輪にeAxleを使ったメリット。ただしパワーは抑えめの48kWだ。

「SUVのため、パワーは抑えめ。車体のロールは許容して乗り心地の“やわらかさ”も求めています。また、ステアリングのギア比をややスローに設定にするなど、運転しやすさを重視しています」

スズキの技術者はそう語る。ただしそれでも、サーキットでドライブしていても、楽しいクルマだった。

絶対的なパワー感にはやや欠けるものの、その範囲内でよくできたハンドリングだと感じた。

全輪駆動はパワーを、前輪駆動は軽快さを感じさせる(写真:スズキ)
全輪駆動はパワーを、前輪駆動は軽快さを感じさせる(写真:スズキ)

全輪駆動モデルは、トルク感があって気持ちよい。小さなコーナーでもきびきびと走れる。ただし、個人的には、車重が100kg軽い前輪駆動版の軽快感も捨てがたかった。

登坂能力は、前輪駆動モデルが18.5度であるのに対して、全輪駆動では26.8度と高い。オフロード性能を高めたところに力点を置いているように感じられる。

「ジムニー」で本格的クロスカントリー型4WD車の開発に打ち込んできたスズキのブランド性が、ここに発露しているといえるだろう。

リン酸化鉄リチウムイオンの駆動用バッテリーはBYD傘下の電池メーカー、弗迪電池(FDB)製だ。

次ページバッテリーのキーワードは「劣化」「火災」「コスト」
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事