特に全輪駆動車の場合、前後輪への駆動力配分のコントロールに心を砕いたという。主題は「操縦安定性と悪路走破性の両立」(スズキの開発者)。
ドライブモードの「オート」モードを選んだ場合、一定走行時の駆動力配分は前54:後46で、加速時は後輪へ多めにトルクが配分され50:50となる。
滑りやすい路面では、70:30へと前輪重視へと配分が変わる。
サーキットでも楽しい制御
悪路では「トレイル」モードを選択できる。特徴はブレーキをうまく使って駆動力を保持すること。

悪路では片輪が浮いて接地性を失うことがある。そうなると、通常デフが働き、接地している車輪にも駆動力が伝わらなくなってしまう。
そこで、トレイルモードでは浮いた車輪に自動でブレーキをかける。リミテッドスリップデフの働きをさせ、接地している車輪の駆動力は確保するのだ。
後輪の駆動力を積極的に使う全輪駆動車では、コーナリングにおいても、操縦安定性が高くなる。これも後輪にeAxleを使ったメリット。ただしパワーは抑えめの48kWだ。
「SUVのため、パワーは抑えめ。車体のロールは許容して乗り心地の“やわらかさ”も求めています。また、ステアリングのギア比をややスローに設定にするなど、運転しやすさを重視しています」
スズキの技術者はそう語る。ただしそれでも、サーキットでドライブしていても、楽しいクルマだった。
絶対的なパワー感にはやや欠けるものの、その範囲内でよくできたハンドリングだと感じた。

全輪駆動モデルは、トルク感があって気持ちよい。小さなコーナーでもきびきびと走れる。ただし、個人的には、車重が100kg軽い前輪駆動版の軽快感も捨てがたかった。
登坂能力は、前輪駆動モデルが18.5度であるのに対して、全輪駆動では26.8度と高い。オフロード性能を高めたところに力点を置いているように感じられる。
「ジムニー」で本格的クロスカントリー型4WD車の開発に打ち込んできたスズキのブランド性が、ここに発露しているといえるだろう。
リン酸化鉄リチウムイオンの駆動用バッテリーはBYD傘下の電池メーカー、弗迪電池(FDB)製だ。
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