サスペンションの設定はうまい。コーナリングでは車体のロールが抑えられている一方で、直進時は路面からの突き上げがよく抑えられていて、快適だ。
ポルトガルの高速道路は、おそらくほとんどコンクリート舗装だろう。日本のように表面が波打っていたり、補修だらけということもなく、それも気持ちよいドライブに貢献したはずではある。
もうひとつの新機軸「インタラクティブマニュアルドライブ」
さらに、RZ550e F SPORTにはもうひとつ、ユニークな機構がある。「インタラクティブマニュアルドライブ」。いってみれば、疑似8段ギアだ。
ステアリングホイールの後ろから“シフト”レバーが生えていて、これを押したり引いたりすることで、マニュアルシフトの感覚が味わえる。

「レクサス初」とプレスリリースでうたわれていて、トヨタ車でも今までなかった技術だが、疑似MTという点では、ヒョンデのスポーツBEV「IONIQ 5N」が先んじている。
ただし、実際には「RZのほうが、芸が細かい」という印象だ。
センターコンソール上のシフター横に設けられた「M」ボタンを押してシステムを起動する。
シフトレバーで「DM1」(つまりドライブモードかつマニュアルモードかつ1速ポジション)を選んで発進。
最大トルクが、フロントとリアともに268.6Nmあるので、加速は力強い。トルクがひたすら増していく感じは、たしかに1速ホールドで加速していくのと同じだ。
そのまま加速していくと、頭打ちになる感覚が突然あらわれる。あたかもエンジン車がレブリミットに到達したような頭打ち感だ。

そこでギアを2速に上げ、加速。今度は音でタイミングを図り、「もっともいい音になるようチューニングしました」と寺田氏がいう仮想レブリミットの手前と判断したところで3速に、という具合。
「モデルにしたのは(レクサス)RC Fのマニュアルトランスミッション搭載車です」
聞けば今回、ステアバイワイヤシステムとインタラクティブマニュアルドライブを持つRZ550e F SPORTを設定したのには理由がある。
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