相場は下値不安と反発期待が綱引きしている 業績の底堅さに円安など支援材料がほしい

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先送りが続いているにもかかわらず、ドル円相場は下げそうで下げません(円高が進みそうで進みません)。金融政策以外のところでドル高要因があるのかもしれませんが、この下げ渋りはやがて反動(円安)に力が向くはずなのです。

国内では2カ月連続でマイナスだった鉱工業生産や日銀短観の結果などを背景に、にわかに日銀による追加金融緩和期待が高まっています。ただ需給ギャップの改善基調が示されていますし、8月の食品を除く消費者物価指数は2013年4月以降で初めてマイナスに転じましたが、日銀が重視する食品とエネルギーを除く消費者物価は着実に上昇傾向にあります。

ただでさえ3度目の緩和効果は薄いといわれるほどなのに、市場に期待が広がった局面で、はたして追加緩和を実施するでしょうか? あってもETF(上場投資信託)の買い付け枠を少し拡大するぐらいでしょう。

今年の高値は足元の水準から遠い

昨年10月末のサプライズ緩和はちょうど株価が戻り歩調のときでした。日経平均株価は年初来の高値更新まであと300円、400円のタイミングでしたので、高値更新の原動力になる効果はありました。今年の高値は2万900円とかなり今の水準から遠い存在で、3000円程度の伸びしろはあるにしても、そこまでいくまでに効果が一巡してしまうことに加え、それを見越した短期筋による格好の売り場を提供するだけとなる可能性が高いです。

日経平均株価は9月9日高値1万8770円を上回れるかが、11月上昇のカギとなります。そうなると12月は反動安で年末高はないかもしれませんが、市場は急落以前の落ち着きを取り戻すとみています。下値メドは、1万7500円水準、9月29日に付けた安値1万6901円などが考えられます。

ドル円相場が2011年10月に1ドル=75円台の安値をつける起点となったのは、2007年6月の124円台の高値です。高値から安値までに要した期間は53カ月。逆に2011年10月から53カ月経過するのは2016年2月です。2011年10月を中心に左右対称的になるタイミングです。

では、2016年2月まではボックス相場でたいした動きはないのでしょうか。 そこから何かが起きるとすれば、大半の円高予測に反して円安放れの動きだと思います。2月まで円安が続くと見立てることもできますが、いずれにしても、株、ドル円相場ともに2月は重要月になるとみています。

東野 幸利 国際テクニカルアナリスト

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ひがしの ゆきとし / Yukitoshi Higashino

DZHフィナンシャルリサーチ 日本株情報部長。証券会社情報部、大手信託銀行トレーダー、大手銀行などの勤務を経て2006年に入社。マーケット分析やデリバティブ市場のコンテンツを担当。IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)、国際テクニカルアナリスト連盟(IFTA)教育委員、日本テクニカルアナリスト協会理事なども務める。
 

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