大塚家具、母・千代子氏が裁判で娘を痛烈批判 資産管理会社を巡り、まだ終わらぬお家騒動

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「親に無にされて残念、情けない」と裁判で語っていた久美子社長(写真は7月2日の新ブランド発表会)

この裁判を巡っては、前回の7月に父と娘が直接対決している。久美子氏は、「(父に)訴訟まで起こされるとは思ってもいなかった」「大塚家具の経営にいろいろと思うところがあり、経営にプレッシャーをかけたいのかなと思った」「親がつくった会社をみんなで守っていこうとやったことを、親に無にされて残念というか情けない」、などと主張。一方、勝久氏は、「へりくつは大嫌い」「私は今、無職だ」「なぜ私を(大塚家具から)追い出すようなまねをしたのか」などと、声を荒げて訴える場面があった。

今回の裁判の舞台となっているききょう企画は、大塚家具の10%弱の株を握る大株主で、株主総会では久美子氏を支持するなど、久美子氏にとって非常に重要な“票田”。今回の裁判の行方次第では、この票田が勝久氏に移る可能性がある。15億円分の償還がききょう企画に命じられた場合、資産のほとんどないききょう企画は、勝久氏から譲渡を受けた、大塚家具の株式130万株の「代物弁済」が現実的になるからだ。

一方で勝久氏は、7月に家具などを販売する新会社「匠大塚」を設立。8月に関東財務局に提出した大量保有報告書によると、12月末までに保有株のうち、発行済み株式の約4.9%に相当する95万株を株式市場で売却し、時価換算ベースで約17億円を手にする。資金需要があって株式を売却するという。勝久氏は売却によって、大塚家具の保有比率が18%から13%に低下することになるが、筆頭株主であることに変わりはない。

裁判の帰趨は経営問題にも絡む

償還期限の合意があったという久美子氏側、一方でそんな話はなかったという勝久氏側。そのまま償還期限が過ぎ、裁判に突入したのは、2013年10月。2014年1月には、ききょう企画の役員から、勝久氏側である長男の勝之氏と千代子氏が解任された。他方、大塚家具では、2009年から社長を努めていた久美子氏が2014年7月に社長を突如解任され、勝久氏が社長復帰している。逆に2015年1月には、父を会長に退けて久美子氏が社長復帰し、株主総会で争ったというのが、これまでの流れだ。

年度内にも判決の出る可能性がある今回の裁判。大塚家の私的な問題だが、大塚家具の経営問題にも絡むだけに、裁判所は難しい判断が求められそうだ。
 

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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