〈激動20年〉挫折した「国産ゲーム」は復活なるか 4つのゲーム会社代表を務めた“興銀出身クリエーター”が語る日本メーカーの生存戦略

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――任天堂を筆頭に、日本ではかわいいキャラクターが出てくるような、家族で楽しめるゲームも人気があります。FPSやオープンワールドのゲームを日本のメーカーが開発するのは難しかったのでしょうか?

優しくてかわいい、は日本のゲーム文化です。私のような日本の開発者はシューティングゲームを作ることはまったく考えませんでした。銃が身近にない生活をしてきたから、愛着や開発ノウハウもなく、そもそも取り組む土俵がない。文化的な違いが大きすぎました。

興銀からゲーム業界へ転身した安田氏。テクモ、角川ゲームス、フロム・ソフトウェア、ドラガミゲームスの4社で代表取締役兼ゲームクリエーターを務めてきた(撮影:梅谷秀司)

ただ反省すべき点もあるのです。海外のユーザーは一方的にゲームストーリーが進み、攻略にも自由度がない日本のゲームに不満を持っていた。そしてゲームの世界観を構成する細部のフォトリアルな再現を望んでいました。

私たちは世界観の表現をユーザーの想像力に頼りすぎていて、CGとしての作り込みが足りなかったのかもしれないと感じたことを覚えています。

「ゼルダ」が大ヒットした理由

――ユーザーの想像力、ですか。

ファミコンやスーパーファミコンの時代は、そもそもグラフィック表現に限界がありました。ゲーマーの想像に甘えて任せるしかなく、そんな時代が長く続いたのです。

いずれにしても日本のゲームメーカーは、自分たちが生み出してきた開発方針を変えることはありませんでした。ユーザーのフィードバックに改善の方向を見出し、最新のCG技術を駆使しながらゲームを継続的に進化させていく努力を続けたのです。

任天堂が2017年に発売した「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」は、一気に3400万本規模まで販売本数を伸ばしました。海外ユーザーのフィードバックに応えながら独自の進化を遂げたことで、シリーズ史上最高の販売本数を叩き出したのです。

この作品はゼルダシリーズで定番だった順番通りのストーリーやダンジョン攻略を撤廃し、非常に自由度の高いオープンワールドアクションアドベンチャーでした。3DCGを駆使した世界観で、好きな攻略法で遊べる内容になったことで、これまで抱えていたゲーマー達のマグマを全部受け止めたのだと思います。

――日本のゲームメーカーが開発方針を変えなかったことが、結果的には巻き返しにつながったということですか?

日本のゲームメーカーがアメリカ勢に追随せず、自分たちが生み出し、育ててきたゲームやジャンルを独自に進化させる道を選択したことは、間違っていなかったと言えます。

日本メーカーが選んだ道が間違っていなかったといえる理由、Steamの登場がゲームメーカーに与えた影響などについて語った本記事の詳報版は、東洋経済オンライン有料版記事「“ガラパゴス”と揶揄され…劣勢続いた「国産ゲーム」の復活劇 興銀からゲーム会社社長に転身した異色クリエーターが振り返る“激動の20年”」でご覧いただけます。
前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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