栃木・宇都宮に「LRT」が走る日は来るのか 路面電車に大規模投資、増える自治体負担
この点について宇都宮市はどう考えているのか――。建設部LRT整備室副主幹の大根田友範氏は次のように語る。
「営業主体については以前から、既存の民間企業、新設の民間企業、第3セクターの3つを考えていました。どの程度の応募が来るのか、予想はできませんでしたが、今回の結果は想定外ではありません。路線がすべて新設で、車両も新しくそろえ、50人以上の運転手を育成しなければならないという大規模事業なので、既存の軌道事業者は挑戦しにくかったのかもしれません」
関東自動車が応募したにもかかわらず、第3セクターとした理由については、「同社の提案内容は自治体への依存度が高かったので、相談のうえ第3セクターを選んだ」(大根田氏)という答えが返ってきた。また大根田氏は、宇都宮LRTはゼロからのスタートであり、運転手養成などの準備を無収入の中で進めなければならず、公的支援が必要だと強調していた。
将来の出資比率は民間主導に
ちなみに49%の民間資本に関しては、宇都宮市と芳賀町の経済団体がまとめ役を担当し、地方銀行などが出資の意向を示している。関東自動車は10%出資し、JRとともにターミナルを持つ東武鉄道も、グループ会社でバスを走らせる東野交通と合わせて5%出資することが明らかになった。将来的には現在1.5億円の資本金を10億円まで増資するとともに、国や県にも出資を掛け合い、比率を行政49対民間51に逆転させたいとしている。
現時点で軌道事業者の出資はない。ただし、技術協力に応じるパートナーは存在する。東京急行電鉄や富山地方鉄道、京福電気鉄道、岡山電気軌道、広島電鉄などが、2014年の段階で内定している。その後、事業規模が大きく1社だけでは賄えないと考え、5社に協力を依頼したという。
このうち東急は2015年4月から実際に技術者を派遣している。ただ、これらの事業者が営業主体に応募しなかったことについては、事業規模の大きさに加え、「各社の本拠地から遠く、栃木県の状況を十分に把握していないことが関係したのではないか」と、大根田氏は語る。
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