「引退」「貨物船転用」「解体」も…40年選手も続々と引退する「古参フェリー」。次々と消えゆくのも必然なワケ

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昔から多いのが「海外に売却、再就航」だ。

宇高連絡船・土佐丸
在りし日の「宇高連絡船 土佐丸」。引退後にインドネシアに売却された(写真:オクケン/PIXTA)

特に東南アジアでは日本の中古旅客船への引き合いが多く、インドネシアでは「宇高連絡船 土佐丸」(1988年引退)、「バンパックフェリー かわのえ」(1990年引退)などが、日本時代の「二等客室」「紳士便所」といった表記もそのままに、現役の旅客船として活躍しているという。

日本国内で再活用も

ただ、海外でも環境規制の法令が厳格化され、中古船舶を以前ほど気軽に購入できなくなっている。

その中で「日本国内で船体再活用」という選択肢も出てきており、1月に引退した「さんふらわあ だいせつ」は、旅客を載せないRORO船(貨物船)として、東京港~苅田港(福岡県)航路での再就航を果たした。

はくおう
七尾港に停泊する「はくおう」。かつての「新日本海フェリー すずらん」だ(防衛省公式Xより)
はくおう
「はくおう」船内の大浴場は、新日本海フェリー時代と変わらず活用されている(防衛省公式Xより)

そして近年、引退したフェリーの進路として「自衛隊の災害救助船」(PFI船舶)という選択肢が出てきた。

2025年6月現在、元・旅客船として「はくおう」(元・新日本海フェリー「すずらん」)、「ナッチャンWorld」(元・東日本フェリー)が防衛庁にチャーターされている。災害発生時には72時間以内に「予備自衛官招集→装備品積み込み・出港準備」ができ、2024年1月に発生した能登半島地震では現場に急行、避難所・臨時浴場として活用されたことを覚えている方も多いだろう。

ただ、この2隻の契約は2025年12月で満了する見込みで、2024年度にはあらたな船舶の確保のために、325億円の国家予算が計上されている。

詳細は明らかになっていないが、一刻も早く被災地に到着できる速力は必要であり、通常の船の倍程度の速力(30.5ノットノット。時速56km程度)を持つ「新日本海フェリー すずらん・すいせん」あたりが、引退後のPFI船舶転用の候補として、有力かもしれない。

フェリーはやとも2
「フェリーはやとも2」。2024年にチッタゴンでAIS電波が途切れた(筆者撮影)
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