宗教2世の「きょうだい児」が死に物狂いに見出した"活路"。《カルト宗教、DV父、母の自殺未遂…》壮絶な日々でつかみ取った慶應大への進学
一度、親からの仕打ちがあまりにひどくなってきたため近所の人に助けを求めたこともあったというが、ドアを叩いて求めた葵さんのSOSは届かず、さっとドアを閉められてしまった。
「田舎ですし、当時はまだ障がい児に対する偏見も強かったので、仕方がないです」
親族はどうだったのかと聞くと、祖父母や親戚にも頼れない状況だったという。もともとストーカー気質だった葵さんの父親が、母親の実家までおしかけて結婚に至ったという経緯があった。
両親共にきょうだいも多く、親戚と呼べる大人は何人もいたはずだったのだが、葵さんが物心ついた頃にはすでにそれぞれの親族と絶縁状態だったため、頼る先が思いつかなかった。
小学校に入学するも…
小学生になった頃には父親が学校に通うことに反対、葵さんは小学校にもろくに行けない生活が続いた。
「今のように子どもホットラインや、子が親を訴えるなんていうのもなくて、そういうことを支援する機関もなかったんですよね」

父親のDV問題や、時々失踪してしまう母親、そこに障がいの弟という平岡家の中で、葵さんはいつもバランサーの役割を担わされることになっていた。


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