宗教2世の「きょうだい児」が死に物狂いに見出した"活路"。《カルト宗教、DV父、母の自殺未遂…》壮絶な日々でつかみ取った慶應大への進学


この状況から逃れるにはどうしたらいいかと考えた結果、勉強に活路を見いだした葵さんは自力で勉強、高校は県内トップの進学校に合格を果たす。しかし、だからといって家庭環境が良くなるわけでもない。
「母の調子が悪そうな時は母に『大丈夫?』と聞かないといけないし、弟がいるから、弟のケアも必要でした。高2の時に一度、私もキレて部屋をぶっ壊したことがあったんですよ。もうさすがに17年間バランサーとしての役割をしてきたけど、ムリだと。
この頃、2週間に一度、成績が張り出される校内テストとかもあって、勉強もすごく忙しかった。そのうえ、宗教のこともやらなくちゃで、なんか過呼吸で倒れることもあって、そんな時でも母親は『アハハ~面白い、なにしてんの~』と、全く私を気遣う様子もなかった。
母はDV父の愚痴はいうけど、別れることはなく、夫婦げんかもたえない。そんな毎日で、なんか、気がついたら暴れて自分の部屋をぶち壊してたんですよ。
このままいくと私、親を殺すかもしれないと思いました。だから、自分が殺人者にならないために、早くこの家を出ないと思ったんです」
家を出るには東京の大学に進学するしか道はない
どうしたらこの家を出られるか。考えた末に出た答えが東京の大学への進学だった。
「うちの高校が特殊だったのか、東大は当たり前、最低でも早慶に入ってくださいと、校長が入学式で言う高校で『東大早慶以外は大学としてカウントしないんで、皆さんここにいる3分の2は落ちこぼれです』とも言われました」
学校でのこうした指導もあったためか、葵さんの中には大学と言えば東大という思いがあったという。
「早慶って微妙だなぁって、勘違いをしていたんですよ」。家を出るには東大に進学するしか道はない、葵さんはそう考えるようになっていた。
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