なぜ「クレヨンしんちゃん」はアジアで愛されるのか? 不朽のキャラクターを生んだ臼井儀人という作家の魅力
1993年7月には、ロッテから作中にしんのすけの好物として描かれるスナック「チョコビ」が販売されて20億円も売り上げ、チョコスナック市場シェア1位を獲得した。さらに、1993~1994年の2年間でゲームソフトは10本もリリースされたほか、アニメが最高視聴率28%を記録する頃には、声優・矢島晶子氏が歌う主題歌「オラはにんきもの」がメガヒットとなり、12月には紅白歌合戦に登場する。
1992~1993年はテレビアニメが火をつけたクレしん最初の大ブームであった。1993~1995年の3年間の劇場版は同時期に上映していた「ドラえもん」や「ドラゴンボール」よりも収益は上だった。
韓国・中国などアジアでのブーム
そんなクレしんの売り上げをさらに伸ばすきっかけとなったのが海外展開だ。英語のみならず中国語・韓国語・タイ語・マレー語・ベトナム語・カンボジア語からスペイン語・カタロニア語まで全世界22カ国に向けて14カ国語の翻訳がなされている。1994年に台湾・タイ、1995年マレーシア、1996年スペインで出版され、それぞれ数十万部売れたかと思うと、2001年にスペインで開始されたアニメ放送は、その後10年以上も続いた。2003年にはスペインの「最優秀エンターテインメントキャラクター賞」にも選ばれている。
2002年に中国、2004年にフランスで出版が開始され、2006年にはインドで爆発的な人気になり、同時期にカートゥーンネットワークにのってアメリカ・カナダでもアニメ放映がされている。そこから20年経った現在においては国内で関連書籍も入れると7000万部だが、海外で累計3000万部を売るお化けキャラクターに羽化した。
下の図表は、現在アップルやグーグルで配信されているクレヨンしんちゃん関連アプリの地域別のMAUの平均値を年ごとにまとめたものだ。2018年に海外向けアプリが展開されているため急激に数字が膨らんでいるが、基本的にはインドが5割、ベトナム・日本が2割ずつで、あとは中国・台湾・韓国・マレーシア以下全部あわせて1割といった具合である。
パブリッシャーの得意な地域に偏るため、この数字をそのままクレヨンしんちゃんの世界人気と見るのは早計と言えるが、おおむね「インド・中国・ベトナムに日本以上のクレしんファンがおり、その他10数カ国でも一定の人気がある」と言って差し支えない数字である。

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