トヨタ、2050年「脱エンジン」宣言の狙い あらゆる面でCO2の排出をなくしていく

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2020年へ向けて、FCV、HVへのシフトを加速させる

FCVほどではないが、HVについてもハードルは高い。HVの販売実績は過去3年、120万台で停滞している(昨年は126万台)。12月に発売する新型「プリウス」に加え、HVへのさらなるコミットを表明したと受け取れる。

2050年という現役世代が責任を持たない長期目標には何の意味もない、とシニカルに見ることは出来る。だが、単なるポーズで打ち出したわけでもないだろう。

背景には、深刻化する環境問題に対するトヨタの危機感があるのは間違いない。各国政府は自動車に対する環境規制を厳格化していく方向にある。規制を後追いするのではなく、高い目標を自ら掲げて動き出すことでライバルに先んじることができる。

好業績の余裕もある。販売台数は年間1000万台を突破し、営業利益は3兆円をたたき出す。リーマンショックや品質問題の反省から、量的拡大を目標に掲げて突き進むやり方をすでに捨て去ったトヨタが、社内を鼓舞する「何か」を必要としたのかもしれない。
 

山田 雄大 東洋経済 コラムニスト

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やまだ たけひろ / Takehiro Yamada

1971年生まれ。1994年、上智大学経済学部卒、東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部に在籍したこともあるが、記者生活の大半は業界担当の現場記者。情報通信やインターネット、電機、自動車、鉄鋼業界などを担当。日本証券アナリスト協会検定会員。2006年には同期の山田雄一郎記者との共著『トリックスター 「村上ファンド」4444億円の闇』(東洋経済新報社)を著す。社内に山田姓が多いため「たけひろ」ではなく「ゆうだい」と呼ばれる。

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