「コンサル会社が主導、ラクに稼ぎたい弁護士が便乗しているのが実情だ」…実は危険?「国が認めた借金救済措置」広告の"真相"
債務者にとって自己破産の最大のメリットは、この免責によって借金を帳消しにできる点だが、高価な財産は処分され、当然ながら信用情報にも傷がつく。管財事件の場合、引っ越しが制限されたり、ローンなどで保証人を立てている場合は保証人が借金を肩代わりすることになったりもする。
「免責と合わせて『破産手続き』と言われることが一般的で、自己破産の手続き中は税理士や会計士など一部の職業に従事できなくなります。また、自己破産すると法令や公示事項を掲載する国の機関紙『官報』に名前が載ってしまい、知人などに自己破産が知られてしまう可能性があることも、デメリットのひとつとして挙げられます」
裁判所を通す「破産手続き」とは異なり、「任意整理」は消費者金融やクレジットカード会社と直接交渉によって、利息や遅延損害金を免除してもらう仕組みだ。実質的に借金を減らせたり、返済期間を延ばしてもらえたりするが、利息などを除いた元金部分の借金は分割で返済していくことになる。
「任意整理では債権者に元金を返済することで、破産手続きのデメリットを被らないこと自体が一番大きなメリットと言えます。ただ、借金の元金は残り続けて返済しなければなりません。返済期間中、予期せぬ出費などによって、さらに生活苦に陥るリスクもあります」
債務整理の際に突きつけられる「自己破産」と「任意整理」の2択。多重債務者がそのどちらを選ぶべきかは、相談者一人ひとりの返済能力や自己破産によって被るデメリットを勘案していくことが大切になる。
「任意整理で消費者金融やクレジットカード会社が分割返済の回数として認めるのは、基本的に36カ月(3年)。なので、借金の元金を依頼人が36回払いで払いきれる返済能力があるかどうかを見極めることになります」
SNS広告による任意整理への誘導の背景
債務整理に訪れる相談者の借り入れ金額や年齢層は幅広く、法律事務所によっても変わるそうだが、グラディアトル法律事務所では500万円以上、年齢層は20〜40代がボリュームゾーンだという。
「もちろん、自己破産をしなくても完済できそうな場合は、任意整理を推奨することになります。しかし、現実には36回払いで返済が難しい相談者が我々の事務所では多く、自己破産という選択肢を考えていくことが基本的な方針になっています」
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