「コンサル会社が主導、ラクに稼ぎたい弁護士が便乗しているのが実情だ」…実は危険?「国が認めた借金救済措置」広告の"真相"
そんな中でTikTok やYouTubeなどのSNSで「借金の減額」などを謳い、任意整理へ誘導するネット広告が増えてきた背景には、どんな要因があるのか?
「実際は弁護士の名義を借りて収益を上げたいコンサルティング会社などが主導するかたちで、ラクに稼ぎたい弁護士がそこに乗っかってしまっているのが実情だと思います。コンサルティング会社が絡んでいる点では任意整理も『過払い金請求』と一緒です。つまり、過払い金請求の需要が一段落し、ターゲットを変えて任意整理へシフトしてきたという流れなのでしょう」
任意整理の相場は債権者1社の交渉につき3万〜5万円ほど。仮に10社弱から借り入れている債務者が任意整理を行う場合は30万円ほどの費用が必要になるそうだ。
そもそも、相談者が多重債務者のため、通常の弁護士の業務の中で任意整理は特段に割のいい“オイシイ稼ぎ口”とは言えない。しかし、一般事務員を大量に雇い、ネットでの集客に注力する一部の法律事務所などでは、こうした案件がそれなりに大きな稼ぎ口になってしまっている面もあるようだ。
「破産手続きは裁判所に申し立てまでに本人の財産を整理し、破産手続きのための費用を貯めてもらうなど、弁護士や司法書士の業務量がとても多い。対して、任意整理の手続きは法的な根拠に基づくものではなく、債権者との直接交渉。消費者金融やカード会社との交渉も複雑な手続きが必要なわけではなく、弁護士の業務負担は比較的少なく済みます」
安易な任意整理が生活困窮を招くケースも
この結果、TikTokやインスタグラムなど、若者が好むアプリに「国が認めた借金救済措置」や「借金減額シミュレーター」といった触れ込みで広告が垂れ流しにされているのだ。

「任意整理の手続き自体は適法なかたちで行われている場合が基本的には多いと思いますが、中にはコンサルティング会社が弁護士の名義を借りて従業員を雇い、債務整理を行っている違法な事例もあるようです」
実際にSNS広告から弁護士事務所に任意整理を行った人からは、事務的なやり取りはLINE上で行われ、弁護士事務所に足を運ぶことなく手続きが済んだとの証言もある。
「電話やオンラインでの相談自体は不適切ではありません。ただ、債務整理を担当する弁護士には直接会って面談しないといけない義務があり、オンラインや電話のやり取りのみで弁護士が最終的に依頼を引き受けるのは、弁護士の規定違反です」
なお、過払金請求と違い任意整理や自己破産といった債務整理では、基本的にお金が返ってくることはない。また、「平成◯年生まれだけ」など生まれ年を限定して煽る広告も多いが、任意整理に年齢制限があるわけではなく、当事者性を演出する単なる宣伝文句に過ぎない。
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