筆者は先日、50歳以上のシニアプロの公式戦、日本プロシニア選手権に取材に行ってきた。大会前に会場に行くなり、選手たちが「マグロ、欲しいよなあ」と言っているのを耳にした。何のことかと思ったら、優勝副賞は「本マグロ解体ショーとにぎりサービス」。なかなかユニークだ。
優勝副賞はほとんどの場合、「車」がついていた。今でこそ、電車で行って、クラブバスに乗って、というゴルフ場は多いが、かつてはゴルフに行くには車というのが定番だった。だからではないだろうが、やはり豪華さという意味で「車」が魅力的だったのだろう。古い資料はないのだが、1962年の中日クラウンズで優勝した石井朝夫が「トヨタのパブリカをもらってうらやましがられた」と聞いたことがある。
車が減少する一方、ユニークな副賞が増加
今年のこれまでの男女トーナメントの優勝副賞を調べてみたら、意外と車が少なくなっていた。副賞は主催者とは違う企業から出してもらうことも多いので、やはり現在の経済状況が影響しているのかもしれない。といっても、まだ半分以上の大会では車がついている。男子では日本車が主流だが、ベンツなど高級車もある。女子は活況なのが幸いしてか、車の価格のレベルも高い。ベンツが主流で、ポルシェが贈られた大会もあった。こうなると、2位の賞金より高いこともあるかもしれない。副賞の車は自分で使うケースもあるが、何台も持っていてもしょうがないので、換金したり、家族や友人に贈ったりしているケースが多いようだ。
ミニショベルカーをもらって、被災地に寄贈することにしたのが、シニアツアーの崎山武志。コマツオープンの優勝副賞にもらったが、9月の関東・東北豪雨の被災地の中でも被害が大きかった栃木県在住。災害から1週間後の優勝だったこともあり、地元への恩返しを申し出た。こうした副賞の使い道もある。
主催者の色が出るものも多い。ヤマハレディスの優勝副章は、グランドピアノとフィッシングボート。この大会では、女子プロがいつも以上に目の色を変えているようにみえた。日清カップヌードル杯と冠がついた日本プロ選手権では、カップヌードル10年分。食べ応えがありそうだ。コニカミノルタ杯と冠がついた日本女子プロ選手権では……そう、ご想像の通り、カラー複合機が副賞の1つだった。
リゾートトラストレディスの会員制リゾートクラブ10年間利用券は、ほかの選手もうらやましがった。優勝副賞ではないが、TポイントレディスではベストスコアにTポイント30万ポイントというのがあった。これも人気だったという。現金30万円よりうれしいというのも世相だろうか。
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