【産業天気図・損害保険】国内弱含みだが海外が支え「曇り」。保険金不払い防止対策が喫緊の課題

07年3月期の上場損保7社の業績は、保険金の売上高に当る正味保険料が前期比3・0%増と増収となったものの、経常利益は同1・1%の減益となった。正味保険料が増収となったのは、ミレアホールディングス<8766.東証>で日新火災の連結子会社化が上乗せになるなどの特殊要因はあったが、各社の海外事業等の貢献が大きい。一方、経常減益となったいちばんの要因は、過去6番目の被害をもたらした台風13号の影響で保険金支払い額が増加したこと。前期は保険金不払い問題の発覚で、不払いが発覚した損保26社に対し業務改善命令が下されるという前代未聞の大量処分の対象となったが、不払い問題が大きく業績に影響を与えた形跡は見えない。たとえば、業務停止命令を受けた三井住友海上火災<8752.東証>と損保ジャパン<8755.東証>も、単体でこそ減収減益だったが、連結で減収減益となったのは損保ジャパンのみ。
 08年3月期も国内保険の弱含みを海外事業で補う形が続き、空模様は「曇り」といったところ。損保主力の自動車保険は、継続割引や小型・軽自動車へのシフトによる単価低下にも下げ止まり感が出てきたとはいえ、力不足は否めないところ。前期に株高、金利引き上げという追い風により、出来過ぎとも言える伸びを示した利息および配当収入も、今期は反動減が予想される。さらに、東京海上日動火災の310億円を筆頭に、コンピュータシステム投資を中心に7社総額で1000億円弱を不払い防止対策費に充てるなど、コスト増は避けようがなく、経常利益も横ばい圏にとどまる見通しだ。保険金不払いの影響は前期には目立たなかったが、今期以降、現場での契約締結が困難になるなどの形で顕在化することも予想され、各社の業績には下振れ懸念がつきまとう。
 今年10月には「郵便局会社」が損保商品の販売に参入、12月には銀行窓販も全面解禁される。新たな巨大販売チャネルの登場で、苛烈なシェア争いが繰り広げられることになりそうだ。当面は保険金不払い防止への対策が先行する見込みだが、その渦中で業界再編観測が高まる可能性がある。
【筑紫祐二記者】

(株)東洋経済新報社 四季報オンライン編集部

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