特筆すべきなのは、アメリカ政府が先端半導体技術の対中輸出規制を強化していることが、かえってカンブリコンの追い風になっていることだ。AI半導体世界最大手のエヌビディアの対中輸出は規制のために減少しており、中国製チップの需要が拡大するのは必然だからだ。

カンブリコンが4月に発表した2025年1~3月期決算では、売上高が11億1100万元(約222億円)と前年同期の43.3倍に急増。一時的な損益を控除した純利益は2億7600万元(約55億円)と、前年同期の2億6100万元(約52億円)の赤字から黒字に転換した。
ただし留意すべきなのは、1~3月期の営業キャッシュフローのマイナス(資金流出)が大きく増加したことだ。具体的なマイナス額は、前年同期の2億3400万元(約47億円)から13億9900万元(約279億円)へと6倍近くに膨れ上がった。
次世代チップに高まる期待
カンブリコンの説明によれば、1~3月期はAI半導体の需要急増で売上高が爆発的に伸びた半面、調達面での大幅な支出増加が営業キャッシュフローの流出拡大につながったという。

同社の成長継続は、開発を進めている次世代AI半導体の成否にかかっている。国海証券の調査レポートによれば、カンブリコンの次世代チップ「思元590」の総合的性能はエヌビディアの「A100」の8割程度とみられている。
上述のレポートは、エヌビディアの対中輸出に対するアメリカ政府の規制により、中国のAI半導体市場に1000億元(約1兆9950億円)規模の空白が生じる可能性があると指摘。国産チップへの置き換えが加速すると予想している。
(財新記者:劉沛林)
※原文の配信は6月5日
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