黒木華の頭抜けた演技力はこうして生まれた 突然あらわれてほとんど名人
当初は舞台一本でいきたかったが、事務所の勧めで映像作品への出演も増えていった。
「映画は、自分が出るものというよりは見るものという意識が大きくて……。どういうふうに撮られればいいのか、今でもよくわからない。映像のお仕事は今でも難しいです」
お芝居だと素直に感情表現ができる
自己表現が苦手なので、逆にお芝居だと素直に感情表現ができる、という。とはいえ役に入り込むタイプでもなく、つねに、冷静に演じる自分を見ている自分がいるそうだ。
「だから、いつか出演作を見て“ああ、見たことのない自分が引き出された!”という体験をしてみたいです」
昔から読書好きの映画好き。テレビよりラジオ派で、FM802を愛聴していたそう。
「今でもオフの時間は、本を読んでいるか映画を見ているか舞台を見ているか。全然変わっていないですね(笑)」
太宰治のような「昔の人の書く文章がとても美しくて好き」という彼女。来年1月に世田谷パブリックシアターで上演される「書く女」では、樋口一葉役で主演を務める。
「座長だと意識してしまうと大変なことになりそうなので(笑)、肩肘をはらずに共演者の皆さんに助けてもらいながらやりたいですね。とはいえ、一応はしっかり皆さんに乗ってもらえる、せめて床に穴が開かないくらいの舟でいなくてはと思っています」
難しいことも楽しいと思ってやろうというのが自分の中での決めごとなので、と涼やかに笑う。自信満々というのとは違うが、なぜか「この人は大丈夫」と感じられるから不思議だ。物腰の柔らかさとは裏腹に、肝がしっかり据わっている。黒木華という女優の大きな魅力はそこにあるのかもしれない。
(取材・文/岩根彰子 写真/山﨑祥和)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら