日本の株価はまだ割高ゾーンに入っていない アベノミクス相場の終わりは「まだ」か「もう」か

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各国の経済と相場は何度もこのパターンを繰り返してきた。金融ビジネスのビジネス・モデルの制御に適当な方法がこれまでに見つかっていないことが原因だ。

前回のバブル崩壊は、サブプライム問題から2008年9月のリーマンショックに引き続く世界金融危機であった。リーマンショックの直後、世界の資産市場と経済は、ほぼ「5時」に時刻が揃った。

その後、金融緩和と巨大な財政支出で時計の針を強引に回転させたのが中国だった。中国のような財政出動は伴わなかったが、当時のFRB議長だったバーナンキ氏がいち早く大規模な金融緩和に踏み切った米国の市場と経済の回復がこれに続いた。

大きかった消費増税とチャイナショックの影響

日本は2012年末の安倍政権成立の前後からインフレ目標と翌年4月異次元金融緩和で遅れて米国の後を追った。根本的な不良債権処理が遅れている欧州は、ECBの金融緩和だけでは全域の経済が本格回復するに至らず、4つの経済圏の中では最も遅れて時刻が進んだ。

時計は、おかしな経済政策で時々逆行することがある。

たとえば、2006年の福井総裁時代の日銀による早すぎる量的緩和終了とゼロ金利解除で日本経済は「9時」を回り損ねて再びデフレに戻ったし、アベノミクスで順調に回りつつあった日本の時計の針は2014年の消費増税で停止ないし若干の逆行に陥り、昨年10月末に発表された追加緩和で針を再び動かそうとしていたところで、先般のチャイナショックに見舞われた。

チャイナショックの前、日経平均株価が2万1000円に迫っていた頃、筆者は日本の相場時刻が「11時」だと思っていた。「これ以上上がると株価はもう安くない。しかし、公的年金の資金まで株式市場に投入して株価を上げようとしているのだ。これから、しばしアベノミクス相場の仕上げの時期を迎えるだろう。アメリカの利上げでゲームオーバーになるまでには、もうしばらく時間がある」と考えたのだ。

各国経済と金融市場の国際的連携が深まっている今日、経済時計を解釈する際に自国の時刻をまず考えるわけだが、ほかの経済圏の状況(いま何時か?)を加味して考える必要がある。

次ページでは日本は何時?
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