そして最後の3つめは、「『君(くん)付け』と『恋愛婚』の普及」です。
戦後民主主義とともに男女共学が広がり、女の子は男の子を「君(くん)」付けで呼び始めるようになりました。
女の子が男の子を「君(くん)」付けで呼ぶのも、団塊世代が初めてです。それまでは「さん」付けが普通で、小中学校でも「さん」付けでした。
「君(くん)」付けで呼ぶということは、男女が対等になったということです。そこから、自分の意志で決める「恋愛結婚」、そして「同年婚」や「友達夫婦」も生まれていきました。
団塊世代以前、戦前までは、「結婚は家と家が結びつくものであり、結婚相手は『見合い』で決める」という考え方が長く続いてきました。それが団塊世代で初めて、「『見合い婚』と『恋愛婚』の割合が逆転」したのです。
そうした男女のフラットな関係は、米国から入ってきた「ウーマン・リブ(女性解放運動)」とも結びつき、団塊世代の女性たちの共感を得ていったのです。
仕事を諦めた団塊女性が、娘の「孫育て」を応援
しかし、団塊世代の女性が会社に入り、結婚する頃は、男女雇用機会均等法がまだ施行されていませんでした。能力が高い女性でも、男性と同等の仕事をすることが難しい時代。有名国立大学を首席で卒業した女性がアルバイトで働くことも普通にありました。
「結婚をとるか、仕事をとるか」という選択を迫られ、「結婚をとった」女性の多くは会社を辞め、専業主婦になっていったのです。その結果、団塊世代の女性は、専業主婦率が1番高くなっています。
「男性と同じように思いきり仕事をしたい」
そう思いながらも、現実には専業主婦にならざるをえなかった――。それが団塊世代の女性たちです。それゆえに彼女たちは自分たちの娘、つまり30代前半から40代半ばの「団塊ジュニア世代」の子育て、つまり「孫育て」を手伝っているのです。
「あなたは仕事を頑張りなさい、家事や育児は私が手伝ってあげるから。男なんか会社でたいしたことないのよ」というのが団塊女性の本音でしょう。このように、各世代の価値観やライフスタイルには「時代背景」が大きくかかわっています。
バブル世代には「バブル世代の恋愛の形」があり、さとり世代には「さとり世代の恋愛の形」があります。「20代=恋人がいない人が過去最高」と言われますが、それには現代の社会インフラや人間関係が大きく影響している、と『日本初!たった1冊で誰とでもうまく付き合える世代論の教科書』の共著者である原田曜平氏(博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー)は本の中で分析しています。
それぞれの世代は、全体の「流れ」の中で見ることで、「立体的に」見ることができます。時代背景やつながりを知ることで、自分自身や身近な人を「深く」理解できるきっかけになります。
ぜひ「本物の世代論」を身につけ、世の中を「立体的に」「深く」見る目を養ってください。
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