子どもが不登校に…「専門家を頼る」を前提に大人たちが変えるべき「接し方」のポイント 教員は「通いやすい学校づくり」「線引き」も重要

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「保護者の子どもへの接し方」の改善点

そもそも、不登校の背景にある子どもの心の病の原因は何なのか。その多くは家庭にあります。不登校は家庭の問題が具現化しているケースが多く、その問題に目を向けなければ不登校の解消は難しいです。夫婦仲、保護者の心の病など抱える問題はさまざまですが、その1つに「保護者の子どもへの接し方」があります。

不登校の子の保護者が改善すべきポイントとして、「ここまでは子どもの責任だが、それ以上は保護者がやってあげる」といった「線引き」があります。子どもが何をすべきで何をしなくていいかなどを可能な限り明確にすることです。問題だと感じる対応でよくあるのが、宿題などのやるべきことをやらず、ゲーム等の好きなことはやり放題という状態。

これでは子どもは「自分がルールを作れる」と勘違いします。家庭での「当たり前」を家庭外での「当たり前」と考えるように子どもの脳はできています。家庭で何でも自分の思い通りになっていると、学校ではそうはいかず、不登校の原因や長期化につながることが少なくありません。

もう1つのポイントは、「年齢に合った接し方」です。不登校の子の保護者はわが子を実年齢以上に扱うことが多いですが、それでは責任を果たせないことが増え、自信喪失するなど健全な心の成長を妨げられます。例えば、過剰に習い事や通塾を強いられ、その課題をこなすためにスケジュールが詰まっている子は、子どもらしくいられる時間が皆無で、燃え尽きて心の病に罹患することが多々あります。「ゲームは一切禁止」といった極端に子どもの楽しみを奪うことも心の病の回復を妨げます。

また、子どもを実年齢よりも下に扱うケースもよく見ます。例えば、中学生であれば自分で着替えられて当然ですが、効率的だからと手伝う保護者もいます。これでは子どもは「面倒なことは親がやる」と考え、やるべきことをやらなくなり、登校の放棄にもつながります。

よくある子どもの心の病について解説した以前の記事では、心の病に罹患した子どもに対しての接し方として、話を聞くこととコントロールのバランス改善を紹介していますので、そちらもご参照ください。

教員はどう対応?そもそも不登校を防ぐには?

教員は精神医療従事者ではないので、子どもが少しでも休みがちになったら、早めに精神科医と心理カウンセラーといった専門家につなげることが望ましいです。また、子どもによって対応を変えるべきですので、子どもと保護者への接し方はそうした専門家にアドバイスを仰ぐことが重要です。

日本の不登校問題は、いじめの被害者が救われない、発達障害の子が適切に支援されないといった学校側の対応の問題も大きな要因となっており、現場は「誰もが通いやすい学校づくり」に取り組む必要があります。

一方で、増え続ける不登校の責任を大人たちがなすりつけ合う状況にも見える中、教員が必要以上に責められている面もあると感じます。学校が保護者と生徒をお客様扱いしてしまう風潮の中で、不登校の主な原因が家庭であるケースも、学校側の責任にされてしまっていることがあるのではないでしょうか。

教員もしっかり線引きすることで、不登校問題は自分だけの責任ではないことを受容して自身を守り、不登校の子以外の教室の大勢の子どもたちとも向き合えるのです。教員も人間ですので、できないことがあって当然です。できないことはできないと線引きをし、任せるべき人に任せることで教員自身がパンクすることを防いでほしいと思います。

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