子どもが不登校に…「専門家を頼る」を前提に大人たちが変えるべき「接し方」のポイント 教員は「通いやすい学校づくり」「線引き」も重要

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ゴールデンウィーク明けの5月、6月は不登校が増える時期といわれている。とくに6月は学級が荒れやすくなる「魔の月」ともいわれるが、不登校への対応に追われ、学級崩壊してしまう教員もいる。子どもが不登校になった場合、保護者や教員はどう向き合っていけばよいのだろうか。自身も中学校時代に日本で不登校を経験したというカリフォルニア州公認心理カウンセラー・荒川龍也氏に、心理学の先進国であるアメリカの不登校対応の視点から解説してもらった。

不登校への対応、「日本とアメリカ」何が違う?

文科省は不登校の子の支援について、「登校するという結果のみを目標としない」ことを明言しており、教育現場では登校を目標としない対応が主流となっています。

しかし私は、登校を目標としないケースというのは、明白であると考えます。例えば、同級生等からのいじめや、教員からの身体的・精神的・性的虐待等、発達障害で適切な支援がまったく受けられないなどの原因に苦しんでいて不登校になるケース。このように学校側に問題がある場合は、心身を守るために一刻も早く学校に行かない選択をすべきです。

一方、そうした被害経験による不登校ではない場合は、“心の病”が背景にある可能性が高いと捉えることが重要です。登校が自殺のトリガーになるなどの危険性がない限り、基本的には学校復帰を前提とし、心の病を治療するというアプローチが大切になります。精神医療・心理学の先進国であるアメリカではこの方針が徹底されていて、不登校の子の保護者には学校が面談を行って原因や対策を話し合い、心理カウンセリングにつないで学校復帰を目指します。

荒川龍也(あらかわ・たつや)
カリフォルニア州公認心理カウンセラー
富山生まれ、名古屋育ち。小学校高学年頃からいじめなどが原因で心の病を患う。中学時には教師からの体罰に苦しみ、いじめが原因で不登校に。16歳で高校中退。2年間のカウンセリングを受けた後、夜間高校に入学。話を聞くことにより下級生の高校中退を何度も防いだことを通じて、話を聞くことの力を知る。アメリカに短期留学した後、心理カウンセラーを目指して渡米。カリフォルニア州立フラトン校大学卒業、同校大学院カウンセリング専攻卒業。カリフォルニア州公認心理カウンセラーの資格を取得し、現在はロサンゼルス近郊で開業して心理カウンセリングを提供。専門は、子どもとその家族、不安とうつ病、アダルトチルドレン
(写真:本人提供)

実際に、心理カウンセラーとして今まで数多くの不登校の子を診てきましたが、そのすべての子が心の病を発症していました。また、不登校の原因はさまざまで複合的であることも多いですが、心の病の治療がうまくいけば、子どもたちは再び在籍校に戻っていきます。

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