子どもが不登校に…「専門家を頼る」を前提に大人たちが変えるべき「接し方」のポイント 教員は「通いやすい学校づくり」「線引き」も重要
また、「すぐに解決しようとしない心持ち」も欠かせません。さまざまなファクターが長期間子どもに影響を与え続けた結果として不登校が起こるので、長い時間が必要だと理解しましょう。教員が慌てれば、その感情は子どもに伝わるので、登校自体に恐怖を覚えている子どもは余計怖くなってしまい、問題の解決が遠のいてしまいます。
さらに、「様子を見る」という対処法ではなく、教員も積極的に家庭に関わっていくことが大切です。その際、「どうすれば子どもと保護者の信頼を得られるか」が重要です。不登校の子が大人を信頼することは非常に難しいですが、前述の私のケースのように、話を聞いて理解してくれる大人がいると、子どもはこの人のためなら頑張ろうと力が湧いてくるものです。
保護者との連絡は密に行うようにしたいです。子どもの様子によってはどんな勉強をしているかなどの学校の情報は保護者を通じて子どもに伝えてもいいでしょう。学校の情報が負担になるかもしれませんが、自殺願望が強い子どもなどよほど危険な状態でない限り、学校の情報で刺激を与えることは絶対悪ではありません。しかし、子どもによって対応は変えるべきなので、どれくらいの刺激なら大丈夫なのかは精神医療従事者と相談しましょう。
子どもが不登校になった場合の対応について述べてきましたが、そもそも不登校を防ぐには「他者とのつながり」が重要です。昨今の日本は核家族化が進むだけでなく、近所付き合いも希薄です。しかし、「子どもを育てるには村全体の協力が必要」というアフリカのことわざがアメリカなどでも使われているように、子どもの心は他者との関係性があり初めて健全に育ちます。
よって、保護者は積極的に他者との関りを持ち、思いやりを持ってほかの保護者と助け合うことが理想です。文科省も不登校の子の保護者の孤立解消に向けて徐々に強化を進めているように、保護者が外部とつながることは重要な視点となります。人間関係は面倒なものですが、保護者には日頃から地域社会に関わったり、近所付き合いを増やしたり、習い事先との人間関係を進んで持ったりしてほしいです。当然のことのようで難しい、この「当たり前」に今一度立ち返ることが、子どもの心を守ることにつながるのではないでしょうか。
教員も、積極的に保護者に対して手を差し伸べていくことが望ましいでしょう。例えば、成績が突然落ちるなどの心の病のサインを出している子どもの保護者には、スクールカウンセラーを紹介することで、子どもの心の病の重篤化、そして不登校を未然に防ぐことにつながります。
(注記のない写真:Ushico/PIXTA)
執筆:カリフォルニア州公認心理カウンセラー 荒川龍也
東洋経済education × ICT編集部
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