日本農業は、やっと大規模農家が主役になる 注目の全国大会開催!真価問われる新生JA

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日本農業にとっては、関税貿易一般協定(ガット)ウルグアイ・ラウンド合意以来の、まさに“黒船”襲来だ。ここでTPPそのものの是非を問うことはしないが、TPPは少なくとも国内農家にかなりのダメージを与えるし、廃業を選択する農家が出てくることも間違いないだろう。

国にTPP対策の確立迫るJA全中会長

「『再生産』を確実にするとともに、後継者を確保していくには、息の長い農業政策が必要であり、関連法制度の整備やそれに沿った予算措置など、万全な対応が不可欠だ」

10月8日、TPP交渉の大筋合意に伴ってコメントを出した全国農業協同組合中央会(JA全中)会長の奥野長衛は、国にTPP対策の確立を迫った。JA全中とはいわばJAグループの司令塔であり、グループの代表として進むべき方針を打ち出し、意見を述べる組織だ。その会長・奥野は同じコメントのなかに「農業分野についてはいずれの品目においても、米国など大輸出国との厳しい競争を余儀なくされることになり、生産現場には不安と怒りの声が広がっている」とも記しており、JAグループが、基本的にTPPを歓迎しているわけではないということを訴えている。農家からは、“聖域”の国会決議に違反しているとの指摘も続出している。

TPPが発効した場合、国内農業にどのようなインパクトがあるのだろうか。にわかに判断するのは難しいが、公式発表された情報を基に推測してみたい。まず、農産物では大半の品目で、関税が撤廃される。

たとえばオレンジ。現在の関税は、国内ミカンの出荷時期に当たる12~5月が32%、それ以外の時期は16%だが、これが発効後8年目までに完全に撤廃される。現在、関税が8.5%または11.9%の鶏肉も段階的に下げ、11年目にはゼロになる。こうした品目では輸入が増え、たとえば海外産品と国内産品の間での競争が生じ、国内農家同士でも国産品消費者の取り合いが生じる可能性がある。

日本のコメは守られた!?

かたや、日本全国で生産されているコメでは、基本的に現在の輸入の枠組みが守られた。つまり、1993年の関税貿易一般協定(ガット)ウルグアイ・ラウンド合意により輸入が義務付けられたミニマム・アクセス(MA)の約77万トン(関税は無税)と、この枠外関税1キロ当たり341円に変更はない。

ただ、TPP交渉に参加した米国とオーストラリアには、将来的に計7万8400トンの無関税輸入枠が設けられる(発効時は計5万6000トン)。これだけ見ると国産米の流通に影響がありそうだが、10月6日の閣議後記者会見で、林芳正農相(当時)は同量の国産米を確実に買い上げて政府備蓄米に回す方針を表明した。コメ輸入の拡大が価格への影響を及ぼさないことを示し、火消しに回ったのだ。

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