台湾に来た中国人配偶者「陸配」がなぜ台湾の政治的問題として浮上したのか、その歴史と現政権の思惑、そして移民・人権問題(中)
「今の陸配と以前の陸配は、まったく違います。そして以前は経済面が結婚の理由でしたが、今は恋愛結婚が主流です。学歴も高く仕事の能力も高い。そのため、台湾に来て定住しようと考える陸配はますます少なくなっています」
現在は累計で約38万人の陸配
台湾・移民署(出入国管理庁)の統計によると、現在は累計で約38万人の陸配がいる。そのうち台湾に長期的に住んでいる人は約22万人だ。残りは中国に住み、仕事などの理由で台湾に移住せず、たまに台湾にやってくるような人たちだ。
陸配にとって2008年は1つの転換点だった。馬英九政権時に中国との関係は改善する。それにともない、陸配の権利は拡大された。
身分証を申請するまでの期間は、台湾在住8年から6年に短縮された。身分証を獲得するまで就労権はなかったが、その前段階の居留証を獲得すれば仕事ができるようになった。また、陸配も公務員として就労できるようになった。
一方で、2008年には北京五輪が開催され、それ以降は中国経済の飛躍的な成長とともに、台湾にやってくる陸配がますます減ってきた。
民進党の蔡英文政権が発足した2016年以降、意外なことかもしれないが陸配は民進党を支持するようになる。それは、蔡英文政権は陸配が就労できる公務員の種類を馬英九時代より増やすなど、陸配に配慮した細かい制度改正を行ったためだ。
それまで、陸配は配偶者が死去すれば台湾を去らなければならなかったが、子どもが未成年ならとどまることができるようになった。
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