日本とは大違い、欧州鉄道「大型荷物置き場」事情 スーツケースからスキーまで収納スペース確保
一方、ベビーカーや楽器、折り畳み自転車などを持ち込む場合は、最大寸法が90cm×130cm×50cmのもの1点。このほかに最大70cm×90cm×50cmのスーツケースやバックパックなど1点と、最大40cm×30cm×15cmの小型のバッグ1点を持ち込める。
これらの規定に違反すると、荷物1点につき最低50ユーロ、最大150ユーロの罰金が科される。罰則規定は2024年から実施されており、フランスでも荷物の車内持ち込みについては課題であるようだ。
これに加え、フランスでは盗難が多い、また不審物の放置への懸念といった問題が潜在的に存在する。そこで、乗客には氏名と連絡先、座席番号を書いたタグをつけるように奨励しているが、あまり効力があるようには見えない。
ドイツ鉄道(DB)はもっと太っ腹だ。公式サイトの荷物に関するページには「荷物のための予約は必要なく、旅行の前にバッグの重さやサイズを測る必要もない」と記している。FAQの「荷物のサイズはどれくらいまで大丈夫か」との問いに対する答えは「以下の標準寸法(高さ700mm×幅500mm×奥行300mm)が荷棚の寸法設定の際に想定されており、ほとんどの場合フィットします」としている。
座席数減らしても荷物置き場は確保
規定はさまざまだが、荷物を置くための予約はTGVもDBも不要だ。これを支えているのが十分な荷物収容スペースだ。
高速鉄道の車両を見ると、この“構造からの配慮”は明確だ。
DBの新型高速列車「ICE4」では、車両の普通車1両に4カ所、それぞれスーツケースが8〜10個分が収容できる大型ラックが設けられている。注目すべきは、それらがドア近くのデッキ部ではなく、座席12席分のスペースを潰して客室内に設置されていることだ。
これは、荷物の存在を「例外」ではなく「必然」と捉えた設計思想の表れだろう。予約も、追加料金も不要。そこに荷物を置くことが当然の行為として成立している。

フランスTGV「inOui」も基本的には同様だが、2階建て車両ではやや様相が異なる。階段があることで、非力な乗客は荷物だけを下層に置いて上層の席に行くなどの工夫をしている。車内には「荷物を置く場所」がそれなりに設けられてはいるが、
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