〈強引すぎる買収〉JALの「エージーピー非公開化」提案は少数株主の保護に逆行懸念
一方のAGPは株主提案に反発している。5月13日には株主提案について「少なくとも現時点においては同意していない」とするリリースを発表した。
4月28日には、株主提案におけるJALの主張に認識の違いがあるとして、AGPは反論を示している。
そこでは非公開化の意向表明が今年1月にJALより突然なされたため、必要性についての議論が足りないと指摘。さらにJALが主張するようなAGP側から一方的に対話を拒んだ事実もないとしている。

JALの提案には、日本空港ビルデングとANAホールディングスも賛同している。3社合計での所有割合は73.26%。ほかの株主が全員反対に回っても、提案が承認されることは確実だ。
TOBではなく、なぜ株式併合?
ただ釈然としないのは、「TOB(株式公開買い付け)などの手段を使わず、なぜ株式併合という方法をいきなり取るのか」だ。
記者会見で疑問をぶつけると、JALの弓﨑雅夫財務・経理本部長は「守秘義務もあり、お答えすることはできない」とだけ述べた。別のJALの幹部は「いきなり提案したということではない。開示したように、われわれは1月から交渉を持ち掛けてきた」と話す。
買い取り価格である1株当たり1550円は、株主提案発表直前の株価1113円と比べて約40%のプレミアムがついている。近年の株価水準と比べてもそれなりの上乗せがあり、少数株主から不満が出ることはないかもしれない。
しかし、少数株主が非公開化への動きを知ったのは、株主提案が公表された4月25日のこと。6月26日を予定とする定時株主総会まで2カ月という期間はあまりにも短い。
しかもJAL、日本空港ビルデング、ANAホールディングスの大株主3社が、「経営への参加および重要提案行為を行うこと」を目的にAGP株を共同保有していると関東財務局に届け出たのは、株主提案の公表と同じ日だった。
3社が共同して動けば、少数株主の意向にかかわらず非公開化は成立する。少数株主からすると、突如降って湧いた非公開化提案によって、有無を言わさずに株主の座を追われる形だ。
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