飽和するコンビニを尻目にイオン系「まいばすけっと」が首都圏でなぜか爆増している理由
これまで「日本の消費者は鮮度にこだわるため、店舗で小分けパック詰めが必要」という定説があった。加工センターで集中処理し、店舗では陳列のみという方式は日本では通用しないとされてきた。
しかし、日本にスーパーが登場して60年以上が経過し、冷蔵・輸送技術の進歩とともに消費者の意識も大きく変化した。「今切りました」「今詰めました」という鮮度アピールより、「近くて便利で生鮮品も買える」ことを重視する消費者が増えているのだろう。

以上を踏まえると、スーパー並みの生鮮品をスーパー価格で提供するコンビニがあれば、このニーズに応えられるはずだ。しかし、現時点でそうした業態は存在しない。ここで注目すべきは、西友を買収したトライアルHDが発表した、西友既存店を活用したサテライト店舗網構想だ。IT・物流投資に注力してきたトライアルは、店舗デジタル化で業界をリードしている。
同社は「トライアルGO」という省人化小型店舗でありながら、スーパーの品揃えを実現するフォーマットを開発した。西友既存店で小分け・パック詰めした生鮮・総菜を周辺の小型店「GO」に配送し、生鮮コンビニ機能を持つ店舗網を構築するという構想だ。これはまいばすへの挑戦状であり、トライアルの西友買収が綿密に計画された首都圏攻略戦略に基づくことを示している。
コンビニは生鮮への対応に遅れ
一方、コンビニ各社の生鮮対応は遅れている。セブンイレブンのSIP店舗はまだ実験段階であり、ローソンのスーパー跡地出店も始まったばかりだ。全国に物流網を持つコンビニ大手なら、このニーズに対応した生鮮コンビニの展開は可能なはずだ。
しかし、ディスカウントストアやトライアルに先を越された形となっている。飽和したと言われる国内コンビニ市場を活性化するには、生鮮コンビニによるスーパーの内食需要取り込みがカギとなるが、まだ実現していない。
まいばすとトライアルGOの競争が本格化すれば、コンビニ各社も動きを加速するだろう。首都圏市場の覇権争いの主役が、まいばすとトライアルという新参者同士になったことは、変化の速い流通業界の特徴をよく表している。
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