飽和するコンビニを尻目にイオン系「まいばすけっと」が首都圏でなぜか爆増している理由
週末しか乗らないのに維持費が高く、買い物でも駐車料金がかかるクルマは、公共交通が発達した都心部ではコストパフォーマンスが悪い。このため、都内ではクルマを持つ人が減っており、首都圏居住者の機動力は小さくなりつつある。
高齢者の増加もクルマ利用率の低下要因だ。働く女性が増え、共働き世帯が主流となった現在、仕事帰りにしか買い物できない現役世帯は平日にクルマを使わない。これらの要因により、首都圏では買い物時の移動距離が大幅に短縮された。つまり近い店が選ばれるようになり、これがまいばすにとって追い風となった。

地元の中小スーパーなど小規模店の淘汰が進む
もう1つの要因は、大手食品スーパーによる寡占化の進行だ。首都圏中心部で大手食品スーパーの出店は着実に進んでおり、イオングループ、ライフ、サミット、オーケーといった大型店舗を展開するチェーンが、近年じわじわとシェアアップを進めてきた。
裏を返せば、地元の中小スーパーや商店街の食品店が徐々に姿を消していることを意味する。クルマ社会の地方なら、近所の店がなくなっても少し遠出すれば済む。しかし、移動手段が限られる大都市住民にとって遠出はハードルが高く、特に高齢者にとっては深刻だ。
実際、経済センサス(経済産業省)によると、東京都の飲食料品店は2016年から2021年にかけて店舗数が8%減少し、1店舗あたりの販売額は増加した。まさに小規模店の淘汰が進んでいる。近くの店が減っている上に、遠くに買い物に行けない首都圏住民にとって、まいばすは待望の店だったのである。
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