JR宇都宮線を運休、埼玉で進む「知られざる大工事」 線路切り換え4回、川の拡幅で鉄道橋を架け替え

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線路の切り換え後は架線や信号などの調整を行い、試運転ののちに午前7時40分過ぎから運転を再開。線路工事のほか架線や信号工事も含めると約310人の現場作業員が携わり、深夜から早朝までの限られた時間内で無事工事を終えた。

古利根川橋梁架け替え工事 夜間作業空撮
上空から見た夜間工事中の現場付近(写真:JR東日本大宮支社)

上下線とも仮線への切り換えが済んだことで、今後は新しい橋梁の建設と従来の橋梁の撤去作業が加速する。従来の橋梁は長さ約30mだったが、新しい橋梁は川幅を広げるのに合わせてほぼ3倍の約90mに延びる。

新しい橋梁は2つの桁で構成され、このうち栗橋寄りの約60mはアーチ橋になる。JR東日本大宮支社によると、正確にはアーチ橋の一種の「ランガー橋」で、正式名称は「ポストテンション方式PC単純ランガー桁」だ。

新しい橋はいつできる?

このランガー桁は2024年11月ごろから従来の線路脇の作業構台上で製作を開始。ランガー桁の製作後、もう1つの桁である「PRC桁」の製作を始めるという。桁の製作と同時に、今後は旧線を撤去して橋台を構築していく。大きなアーチを描くランガー桁は、田園地帯の中でひときわ目立つ存在になりそうだ。

古利根川橋梁 工事現場
新しい橋梁の製作が進む古利根川橋梁。右側を線路が通っている(記者撮影)
【写真をもっと見る】上空から見た線路切り換え後の古利根川橋梁、GW期間中に行われた夜間工事の様子、そして仮線に切り替わった古利根川橋梁を走る列車など

仮線から新しい橋梁への線路切り換えは、上り線が2028年春ごろ、下り線は翌2029年春ごろの予定。その後仮の橋梁などを撤去し、最終的な完成形に至る計画だ。

旅客列車だけでなく、貨物列車も多数走る宇都宮線(東北本線)は首都圏の大動脈。そして中川は埼玉から東京湾へと注ぐ、地域の発展を支えてきた主要な河川だ。その2つが交わる場所である橋梁の架け替えは一見地味ながら、都心部の再開発にも増して重要なインフラ工事といえそうだ。

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小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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