JR宇都宮線を運休、埼玉で進む「知られざる大工事」 線路切り換え4回、川の拡幅で鉄道橋を架け替え
栗橋から上り列車に乗り、田園地帯が広がる車窓の左側に高い送電鉄塔が見えると列車は鉄橋にさしかかる。車窓には建設中のビルかマンションのようにも見える工事現場が現れる。ここが架け替え工事の進む古利根川橋梁だ。

橋梁の架け替えは、埼玉県が進める中川の河川改修事業の一環。中川では水害などの被害を防ぐため、県が川幅を広げたり橋を架け替えたりするなどの改修事業を進めている。古利根川橋梁付近では川幅を現在の約30mから約90mに広げる計画で、橋梁もこれに合わせて今までより長いものに架け替える必要がある。

「仮線」に切り換えて新しい橋を建設
埼玉県県土整備部河川砂防課の担当者によると、中川の流域は荒川や利根川、江戸川という大河川に囲まれ、水が流れにくくたまりやすい地域といい、過去に何度も水害が発生している。中川の治水対策は長年をかけて行っている事業で、担当者は「都県境付近から始めて、ようやくここ(久喜付近)まで来た」と語る。
古利根川橋梁の部分を含む、中川改修事業の「久喜・幸手工区」の長さは約11.7km。大半は改修が済んでおり、同橋梁付近の約800mが残っている。JR宇都宮線の橋梁架け替えは改修事業の中でも「大きなウェイトを占める」(担当者)部分だ。

県とJRは2021年に橋梁改築に関する協定を締結。2022年3月から工事に着手した。事業の主体は県で、JRは県から設計や工事などを受託する形で実施。期間は2031年3月までの予定だ。
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