洋上風力と水素の勝算、経産省はどう考えているか FIT制度「負の遺産」の払拭に全力

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かなり野心的な目標を掲げた。ただ、エネルギーミックスよりも重要なのが投資だ。前回の第6次エネルギー基本計画時までは人口の減少もあり、将来の電力需要は減少するとの見通しだった。しかし今回の第7次計画では、デジタル化に伴い電力需要が増えていくという予想に転換した。需要が増えていく中で、脱炭素電源への投資をどう確保していくか、政策を総動員しなければならない時に来ている。再エネ分野においても、投資環境整備が大きなキーワードになる。

──どういうことでしょうか。

再エネの拡大に当たっては、国民負担の抑制と事業者の採算性の両立がカギになる。国民負担を増やせば、(財源確保によって)事業者の採算性は改善する。しかし税をはじめ国民負担の軽減が叫ばれている中で、エネルギーコスト増を国民負担としてお願いすることは難しい。そこで次の2つの課題がある。

FIT制度「負の遺産」の払拭に全力

いとう・さだのり/1971年生まれ。東京大学法学部卒。1994年通商産業省(当時)入省。経済産業省製造産業局自動車課長補佐、内閣官房原子力発電所事故による経済被害対応室企画官、原子力損害賠償支援機構審議役・運営委員会事務局長補佐、岸田文雄内閣総理大臣秘書官などを歴任。2024年11月から経済産業省・資源エネルギー庁・省エネルギー・新エネルギー部長(撮影:岡田広行)

1つは、やや過激に聞こえるかもしれないが、再エネ固定価格買取(FIT)制度の負の遺産とどう戦っていくかということ。FIT制度の意義は大きく、制度がなければここまで再エネが増えることはなかった。他方で制度にまつわる高コスト構造がいまだに残っている。この負の遺産にどう決着をつけるかが課題だ。大きな方向性として、FITから(市場価格に基づく売電収入に一定の補助金を上乗せする)フィードインプレミアム(FIP)制度への切り替えを進めていく。

もう1つの重要な課題がイノベーションだ。次世代太陽電池、風力、地熱分野とも、技術開発によってコストを下げていかなければならない。そのための支援をしていく。

──世界的に見ても、エネルギー情勢は大きく変化しています。

3月にアメリカで開催された「CERAウィーク」と呼ばれるエネルギー関連の会議で、アメリカの投資ファンドのカーライルが「ピークオイルトレード」というリポートを発表して注目された。

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