JR湖西線「空振り4割減」強風予測システムの効果 特急迂回運転を回避、普通列車は運転区間延長

JR西日本が人工知能(AI)を活用して強風を予測するシステムを大阪ガスと共同開発した。予測精度がこれまでよりも高いのが特徴で、湖西線に今年2月から本格導入した。運転規制をかけたものの実際には強風が吹かない「空振り」の削減を狙うという。その開発経緯や今後の展望について開発担当者に話を聞いた。
湖西線の悩みの種「比良おろし」
琵琶湖西側の湖畔沿いを走る湖西線は山科(京都市)と近江塩津(滋賀県長浜市)を結ぶ全長74.1kmの路線である。網干(兵庫県姫路市)と敦賀(福井県敦賀市)を結ぶ新快速の主要区間であり、大阪を出発した特急「サンダーバード」から敦賀で北陸新幹線に乗り継いで金沢や富山につながるという点で、間違いなく関西と北陸を結ぶ交通の大動脈である。
風光明媚な路線としても知られ、車窓から陽光にきらめく湖畔と琵琶湖の東側にある山々の雄大な景色を楽しむことができる。一方、琵琶湖の西側には標高1000mを超える山々が連なる比良山系があり、毎年3〜4月になると比良山地から琵琶湖に向かって「比良おろし」と呼ばれる強風が吹き下りる。
比良おろしは本格的な春の訪れを告げる風とされているが、この強風は湖西線にとって厄介者である。湖西線は全線が高架であり真横から風を受けるため、強風の程度によっては徐行、運転見合わせといった運転規制をせざるをえないのだ。
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