JR湖西線「空振り4割減」強風予測システムの効果 特急迂回運転を回避、普通列車は運転区間延長

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2008年から沿線各所に防風柵が設置され、風の影響は若干緩和された。従来は風速20m以上で徐行、風速25m以上で運転見合わせとなっていたが、防風柵設置箇所では風速25m以上で徐行、風速30m以上で運転見合わせとなった。それでも、運転規制の日数は平均すると年20日程度になるという。

長時間の強風が予想される場合は新快速は全区間(京都―敦賀間)、普通列車は一部区間で事前に運転を見合わせる。急な運転見合わせで列車が駅間で立ち往生すると、乗客に大変な負担がかかるためだ。

また、強風予測の状況によっては、特急サンダーバードは湖西線ではなく、草津、米原を経由して琵琶湖東側の北陸線に乗り入れる迂回運転により敦賀に向かう。この場合、湖西線ルートと比べて約30分余計にかかる。しかも、この遅れが敦賀で接続する北陸新幹線に波及することもある。2023年12月〜2024年11月の約1年間でサンダーバードの迂回運転は約300本に及んだという。

X JR西日本 列車運行情報
強風による湖西線の徐行運転を知らせるJR西日本の列車運行情報(編集部撮影)

運転規制の「空振り」防げ

強風が予想されたことで運転規制をするのは安全運行のためにはやむをえない。問題は、実際には強風が吹かず、迂回運転が「空振り」に終わるケースが発生していることだ。予想外の強風により列車が立ち往生するよりは空振りのほうがずっとましといえるが、不必要な迂回運転を強いられる利用客の負担を考えれば空振りはないに越したことはない。

膨大なデータを分析して有益な知見を引き出すデータサイエンスという研究分野がある。JR西日本は2017年からデータサイエンスの取り組みに着手、これまでに状態監視保全(CBM)やマーケティング分野での活用実績がある。この手法を使えば、強風予測の精度を高めて空振りを減らせるのではないかとJR西日本は考えた。

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