上野東京ライン「川口停車」次に続く駅はあるか 「ホーム新設して停車」求める駅はほかにもある
市が同駅の課題として挙げるのは、利用者数が県内のJR駅で3番目である一方、利用できるのが京浜東北線1路線のみという点だ。ラッシュ時の混雑に加え、列車の運休や遅延の際には駅舎内や駅前広場に利用者があふれるという。国土交通省が毎年公表している都市鉄道の混雑率データによると、京浜東北線の最混雑区間は川口→赤羽間の150%(2023年度)で、首都圏のJR線の中でも比較的高い。
以前から市は、湘南新宿ラインや宇都宮線・高崎線など中距離電車の停車を求めており、2008年度から継続的にJRや国交相などに対して要望活動を行ってきた。「現市長の就任以降、市としての動きが活発化した」と市の担当者はいう。2022年には、市とJRがホーム増設などの調査について協定を結び、検討を進めてきた。

ホーム設置費用は市が負担
停車の対象を上野東京ラインに絞ったのは、「混雑などを考慮したため」(市担当者)だ。湘南新宿ラインが停まれば、現在は乗り換えが必要な新宿方面にも1本で行けるメリットがあるが、同線は朝7~8時台の本数が12本で上野東京ラインの29本と比べて少なく、混雑率も高い。また、同じ線路を埼京線や貨物列車も通る湘南新宿ラインに比べて「緊急時の代替性」も高いという。
市とJRが結んだ基本協定では、ホーム設置や駅の改良に伴う自由通路の整備費用は市が負担する。市はこれまでの想定で、ホームの設置や駅舎改良などの概算事業費は400億円前後と見込んでいる。費用については「国の補助金などが活用できないか検討していく」(市担当者)方針だ。

上野東京ラインの線路は京浜東北線と湘南新宿ラインの間を通っており、ホームを設置するには湘南新宿ラインの線路を移設して用地を広げる必要がある。ただ、拡幅するスペースは駅西側に市が保有する緑地などがあるため、用地の買収は基本的に不要という。
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