金価格の上昇局面ははすでに終了した?短期間で急上昇しただけに、今後は急落の可能性も

金価格の値動きが不安定になってきている。アメリカのドナルド・トランプ大統領が「解放の日」と呼んだ4月2日には、市場予想よりも厳しい内容の相互関税方針が発表になったことで、株式だけでなく金も売られた結果、ニューヨーク金先物相場では一時1トロイオンス=3000ドルの大台を割り込んだ。
その後、トランプ大統領が関税措置の緩和策を相次いで発表すると、一転して金は上昇。4月22日には現物価格が一時3500ドル台を突破するまでに上げ幅を拡大した。
その後は利益を確定するための売りが加速、現在は1トロイオンス=3200~3300ドル台の一定の範囲内で方向感なく上下を繰り返す状態が続いている。相場がなお過熱気味である一方、「当面の高値はすでにつけた」という弱気の見方も浮上してきているのが現状だ。はたして金価格は、このまま輝きを失ってしまうのだろうか。
金に対する「追い風」はまだ吹き続けるのか?
ここまで金相場を大きく押し上げてきた最大の要因は、やはり安全資産としての需要である。トランプ大統領は、1月の大統領就任直後から矢継ぎ早にさまざまな関税方針を発表したかと思えば、その直後に適用の先送りや一部製品に対する緩和措置を打ち出すなど、政策はいまだに一貫していない。
こうした政策の発表を目の当たりにして、投資家の間には先行き不透明感が急速に高まり、株式や債券などの市場は一時混乱状態に陥った。関税の影響によるインフレの再燃懸念や、景気減速に対する懸念を背景に、主にアメリカの株式市場から流出した資金が、安全資産と見なされている金市場に一気に流れ込んだ、というのが現状だろう。金価格はわずかこの3~4カ月の間に30%以上も上昇した。
4月2日のトランプ大統領の相互関税発表後、一時的に大きく売られたのは、その厳しい内容を見て、「今後トランプ大統領は強硬路線を突き進む」との見方が強まったためだ。
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