世耕氏招致でも"真相はますます闇の中"、「政治とカネ」問題の究明がちっとも進まない《構造的要因》

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

しかし、参院自民党は3月28日の立憲民主党との幹部協議において、野党側が今年度予算案の採決条件として求めていた世耕氏の参考人招致に応じると回答。その直後に参院予算委が世耕氏招致を全会一致で議決した。

しかも、この“電撃議決”を知らされていた自民党幹部はわずか数人だった。同党内でも「明らかに、参院での世耕氏の影響力低下を踏まえた自民党内の反安倍勢力の仕掛け」(閣僚経験者)と受け取る向きが多かった。

国民の期待を裏切りかねない野党の「選挙優先論」

加えて、世耕氏が地元・和歌山で繰り広げている二階俊博元幹事長との権力闘争が影響したとの見方も広がる。

世耕氏は昨年10月の衆院選で和歌山2区から無所属で出馬し、二階氏の地盤を引き継いだ三男で自民党新人の伸康氏との「紀州戦争」を制している。これに対して、二階氏に近い相当数の自民党議員が世耕氏を敵視していることが、「衆院議員の世耕氏が参院での参考人招致が議決された際に衆院側から異論は出なかった原因」との見方につながる。

こうした経緯の複雑さも踏まえて、今回の世耕氏招致については野党側も「極めて特殊なケースで、今後の真相解明への大きな一歩とは位置づけられない」(立憲民主党の国対関係者)と受け止める向きが多い。だからこそ、「このまま参院選まで引きずろう」という戦略が取りざたされるわけだ。

とはいえ、「野党が、真相解明より選挙での有利不利にこだわると、野党に対する国民の期待も失われかねない」(政治ジャーナリスト)といった厳しい見方も少なくない。今国会の最大の注目点とされた「政治とカネ」問題だが、先行きはなお混沌としている。

泉 宏 政治ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事