世耕氏招致でも"真相はますます闇の中"、「政治とカネ」問題の究明がちっとも進まない《構造的要因》
このため、「今国会では、参考人招致要求を続けることで自民党の隠蔽体質を際立たせ、そのまま参院選になだれ込むほうが得策」(同)との声が出始めている。関係者の間では「結果的に裏金問題の今国会決着は先送りとなる可能性」(同)もささやかれている。
そもそも旧安倍派の「資金還流」問題については、衆院予算委が2月27日、すべてを知る立場とされる松本淳一郎・元同派会計責任者に対する非公開での事情聴取を実施。同委員会の安住淳委員長が記者会見でその内容を公表した。
安住氏は、2022年春に故・安倍晋三元首相が取りやめを決めた「還付」について、「松本氏は(同年8月5日の4幹部会合で)当時の派閥幹部から再開を求められたと説明した」ことなどを明らかにした。
さらに安住氏は「質疑は約40分にわたって理事会のメンバーなどで行い、先方は3人の弁護士が立ち会った」と説明。最大の焦点である「還付再開の経緯」については、松本氏が「2022年7月に、一部議員たちの声を受けたある幹部から『再開をすべきだ、してほしい』という話があり、その延長で8月(5日)に4人が集まって、ということだった」と述べたことも明らかにした。
ただ、その際に安住氏が「ある幹部とは誰か」と問い詰めると、「本来ならご自身がお話しすることで、名前は差し控える。今は現職ではない人だ」と答えたと説明。記者団が「『再開すべき』と松本氏に伝えた派閥幹部は、現職ではない、塩谷・下村両氏のどちらかではないか」と問うと、安住氏は「結論から言えば、この2人のうちのどちらかということになるのではないか。松本氏が、話せることに限度がある中でも、最大の疑問であるこの部分は明確に話していて、意外だった」とも指摘した。
世耕氏招致の背景に「自民内の複雑怪奇な確執」
今回の世耕氏の招致は「電撃的」ともいえるスピードで決まった。その経緯を検証すると、「旧安倍派裏金事件をめぐる自民党内の複雑怪奇な駆け引き」(自民党長老)が透けて見える。
世耕氏の参考人招致は、自民党も含めた全会一致で議決されるという、極めて異例な形で実現した。世耕氏は裏金事件を受けて昨年4月に自民党を離党したが、安倍政権で官房副長官や経済産業相を歴任した旧安倍派幹部だっただけに、「通常なら自民党が反対して、招致は実現しなかったはず」(同)だった。
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