糖質制限の権威が語る「心と健康」の深い関係 アドラーは最強の健康法だった!
――アドラーを健康に応用するとは、具体的に言うと?
アドラーは自分と他人の「課題の分離」が重要だと言っていますが、病気の治療を有効にするためには、医者と患者の課題の分離が非常に大切です。
また、アドラーは対等な人間関係が悩み解決の前提だとしていますが、治療においても医者と患者とが「対等な人間関係」を築くことが、治療を有効にする前提となります。
ここまで挙げてきた「全体論」「課題の分離」「対等な人間関係」など、アドラーの提唱している考え方はどれも医療現場では重要で、今、言ったように実践的に使えます。
でも残念ながら、今の日本の医療現場では常識になっているとは言えません。だからこそ、アドラーを応用した健康法をご紹介することには、意味があると思っているのです。
医者としての経験則、「心を変えると健康になれる」
――新しい療法をいくつも確立できた秘訣は?
別に目新しい療法ばかり探していたわけではないのです。けれど、漢方やアトピー治療、心理療法、断食療法、玄米魚菜食、そして糖質制限食と、図らずも開拓者の役を何度もすることになったのは、私がアドラー的であることと無関係ではないのかもしれません。
私はアドラーの専門家ではありませんが、医者として生きるうちに、偶然にも、彼の勧めるような考え方や態度を、自然に身に付けていたようなのですね。
そこで、今度の本ではアドラー的な人間が出来上がっていく実例として、兄や両親との人間関係を含めた私の半生もご紹介しています。
たとえば、私は糖尿病です。普通なら、糖尿病だという事実がわかればショックでしょうが、「これで、俺は糖質制限食の実験台になれる」と、むしろ前向きに心を変えることができました。糖質制限食にたどり着けたのには、私自身の「心を変える」というアドラー的な態度があったからなのです。
言わば、医者として生きてきた私の半生は、アドラーの結論が健康の面でも正しいことを証明していたようなものだと、今にして思うんですよ。
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