糖質制限の権威が語る「心と健康」の深い関係 アドラーは最強の健康法だった!

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――アドラーを健康に応用するとは、具体的に言うと?

アドラーは自分と他人の「課題の分離」が重要だと言っていますが、病気の治療を有効にするためには、医者と患者の課題の分離が非常に大切です。

また、アドラーは対等な人間関係が悩み解決の前提だとしていますが、治療においても医者と患者とが「対等な人間関係」を築くことが、治療を有効にする前提となります。

ここまで挙げてきた「全体論」「課題の分離」「対等な人間関係」など、アドラーの提唱している考え方はどれも医療現場では重要で、今、言ったように実践的に使えます。

でも残念ながら、今の日本の医療現場では常識になっているとは言えません。だからこそ、アドラーを応用した健康法をご紹介することには、意味があると思っているのです。

医者としての経験則、「心を変えると健康になれる」

江部 康二(えべ こうじ) 内科医、漢方医。高雄病院理事長、日本糖質制限医療推進協会理事長、江部診療所所長。1950年生まれ。74年京都大学医学部卒業。78年から高雄病院に勤務。漢方療法、絶食療法、食養生、心理療法なども取り入れ、独自の臨床活動を行ってきた。99年高雄病院に糖質制限食を導入し、2001年から本格的に取り組む。02年に自らも糖尿病であると気づいて以来、さらに研究に力を注ぎ「糖質制限食」の体系を確立。自身の糖尿病も克服する。

――新しい療法をいくつも確立できた秘訣は?

別に目新しい療法ばかり探していたわけではないのです。けれど、漢方やアトピー治療、心理療法、断食療法、玄米魚菜食、そして糖質制限食と、図らずも開拓者の役を何度もすることになったのは、私がアドラー的であることと無関係ではないのかもしれません。

私はアドラーの専門家ではありませんが、医者として生きるうちに、偶然にも、彼の勧めるような考え方や態度を、自然に身に付けていたようなのですね。

そこで、今度の本ではアドラー的な人間が出来上がっていく実例として、兄や両親との人間関係を含めた私の半生もご紹介しています。

たとえば、私は糖尿病です。普通なら、糖尿病だという事実がわかればショックでしょうが、「これで、俺は糖質制限食の実験台になれる」と、むしろ前向きに心を変えることができました。糖質制限食にたどり着けたのには、私自身の「心を変える」というアドラー的な態度があったからなのです。

言わば、医者として生きてきた私の半生は、アドラーの結論が健康の面でも正しいことを証明していたようなものだと、今にして思うんですよ。

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