今のままではCMは戻ってこない!フジ旧経営陣が今こそ果たすべき"最後の責任"とは何か

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だが、清水社長が会見でいかに的確に対処したとしても、第三者委員会報告書に書かれた悪質な過去は変わらない。フジテレビ社内で長年にわたりハラスメントが蔓延していたことが、綿密な調査で得た事実を並べて明らかにされたのだ。

とんでもない会社だし、どうしようもない経営陣だったと言わざるをえない。旧経営陣が総退陣し、新経営陣の下で「強化策」が進められたとしても、それが効力を示すまでに長い期間が必要だろう。フジテレビの企業風土が3カ月やそこらで改善されるとは思えない。大手広告主のCM再開は依然として見通せないままだ。

人事の先駆け発表が悪手だった理由

こうなると、第三者委員会の報告書に先駆けて3月27日に発表した経営刷新が悪手に思えてくる。

筆者は前回記事(3月28日配信「フジテレビ経営刷新に残る3つのモヤモヤの正体」)において、調査結果を受けてから経営体制を見直すのが自然ではないかと書いた。その前に経営刷新を発表することは“先手”になるのか懸念したのだが、まさに心配したとおりになったと思う。

27日に旧経営陣のうち清水社長を除いて社内取締役が全員退任する人事を発表したが、その理由は「取締役の世代交代」や「監督機能と業務執行機能の分離」という、どちらかというと前向きなものだった。だが、報告書によってハラスメントの蔓延が明らかとなった今、その責任は旧経営陣に問われるはずだ。責任を追及される前に退任してしまったために、世間にも広告主にも、そしてフジテレビの現場社員にも「責任から逃げた」との印象だけが残ったのではないか。

31日の会見で清水社長は、退任した取締役に関して、6月までは顧問契約を結び、7月以降は個々の契約となると説明した。小さくない額の役員報酬が支払われなくなるとともに、取締役の地位も失うため、一定の責任を取ったと考えられなくもない。しかし、それでも「説明責任」「道義的責任」は果たされないままだ。

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