Apple Intelligenceが4月から日本語対応、デバイス内処理とプライベートクラウドのハイブリッド構造で、プライバシー重視のAI体験を提供
2024年には「Copilot+ PC」という新カテゴリーのWindows PCの枠組みを作り、40兆回/秒以上の処理性能を持つ専用NPU搭載PCによって、デバイス上での高速かつプライバシー配慮型のAI体験が利用できることを訴求し始めた。
Windows 11自体もAIを前提に再設計され、PC上で開いた情報を自動で記憶・要約して検索できる「Recall」機能や、自然言語でPC設定や操作を指示できる機能が強化されている。
Microsoft 365アプリでも、Copilotがメール下書きや会議メモの要約などビジネス生産性を高める機能を提供しており、企業ユーザー向けの最適化が際立っている。
ただし、マイクロソフトのAI統合もプライバシー面では課題があり、「Recall」機能については定期的なスクリーンショット取得による情報漏洩リスクが指摘され、後にオプトイン機能に切り替えられた。
また、多くの高度なCopilot機能は有料サービスとして提供されている。直近では定型タスクや依頼を解決するエージェントをクラウドで提供することを発表。デバイスを出発点にしたAI活用の枠組みを提案しつつ、その先にマイクロソフトのより高度な有料のAIサービスを統合するモデルで、“ハードウェア製品メーカー”の立場を貫くアップルとのビジネスモデル、立ち位置の違いは鮮明だ。
最後に比較対象としてサムスンについても触れておきたい。
ご存じの通り、サムスンは独自のAIプラットフォームを持っているわけではないが、スマートフォンのトップブランドとして、AI活用を独自実装していることを訴求し、製品の魅力を高めようとしている。その意味ではアップルとは直接的な競合関係と言えるだろう。
サムスンの生成AI機能「Galaxy AI」は毎朝の予定をまとめる「ナウブリーフ」、写真内のオブジェクトを丸で囲んで情報検索できる「サークル・トゥ・サーチ」、動画から自動でハイライトを抽出する「オートトリム」など、端末固有機能と結びついたAI機能を提供している。
「Knox Matrix」や「Personal Data Engine」といった独自のセキュリティ技術で、ユーザーのプライベートデータを保護する仕組みという点では、同じ端末メーカーであるアップルのアプローチにも近い。
しかし利用しているAI技術そのものは、グーグルやマイクロソフトといったパートナーに依存している。またサムスンは2025年末までGalaxy AI機能を無料提供しているものの、その後は一部の高度な機能を有料化する可能性を示唆している点もアップルとは異なる。
プライバシー重視型AIの戦略的意義
Apple Intelligenceの“プライバシー重視”は、技術的にも他のAI技術と異なる部分で、アップル自身がもっとも強調している点だ。これにはアップルの事業戦略上の意味も大きい。
ひとつはプライバシー重視の姿勢を崩さないことによる、ユーザーの信頼獲得とブランドの強化だ。生成AIの高度化に伴い、個人情報がクラウド上で処理・保存されることへの不安とともに、それらを匿名データとして使うことで生活品質が向上するという認識もあり、ある意味、許容範囲が広がっている面もある。
そうした中で「ユーザーの使用データは持ち出さない」姿勢を徹底することでブランドをさらに強化する。アップルはソリューションベンダーではない。デバイス単位での安心を提供することで、アップル製品ならば安心の設計思想との信頼を強化することには大きな意味があるだろう。

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