高い企業イメージとヨーロッパのEV(電気自動車)市場の将来性を背景に、ノースボルトは2024年初めまでに増資や借り入れを通じて総額130億ドル(約1兆9160億円)超の資金を調達。企業評価額は一時200億ドル(約2兆9477億円)を突破した。

そんな同社の命運が暗転したのは2024年6月、BMWがノースボルトと2020年に結んだ総額20億ユーロ(約3212億円)の電池調達契約を、突如キャンセルしたのがきっかけだった。
契約解除の理由は、ノースボルトが約束の期限までに品質基準を満たす車載電池を納入できなかったことだった。この“事件”は同社の技術力や生産能力に関して、期待値と実態の間に大きなギャップがあることを白日の下にさらした。
政策や財政の支援に限界
顧客や投資家の信用を失い、ノースボルトの経営状況は急速に悪化。同社は2024年9月から事業計画の大幅な見直し、3つの電池工場の建設延期、全社員の約2割の人員カットなどのリストラ策を相次いで打ち出したが、失った信用は戻らなかった。その後、アメリカ連邦破産法11条の適用を経て、今回の破産申請に至った。

「ノースボルトの破産はヨーロッパ(の政策当局者)への警鐘だ」。ノルウェーのコンサルティング会社、ライスタッド・エナジーのアナリストを務める陳姍氏は、財新記者の取材に対してそう述べ、次のような見解を示した。
「中国のCATL(寧徳時代新能源科技)やBYD(比亜迪)などの大手電池メーカーに比べて、ヨーロッパ(の電池スタートアップ)は技術力や量産ノウハウなどで大きく後れを取っている。政府の政策的後押しや財政支援だけで、東アジアの先行企業に追いつくのは不可能だ」
(財新記者:蘆羽桐)
※原文の配信は3月12日
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