日本株は本当に下げ止まったのか もし追加緩和があってもサプライズは小さい

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こうなると、日銀は梯子をはずされた格好で、最終兵器とも言える追加緩和を打ち出しづらい状況に追い込まれた。振り返ると、2014年10月の「黒田バズーカ第2弾」が株価上昇につながったのは、サプライズ効果が大きかったからである。

しかし、今回は証券業界が「株価浮揚には『黒田バズーカ第3弾』や政府の景気刺激策などに期待するしかない」とすでに認めている。とすると、実際に政策対応が打ち出されてもサプライズ効果がないか小さいかのどちらかの可能性が高い。

まして政策対応が見送られれば、悲惨な結果が待っているだろう。いずれの場合でも、株価の大幅な反発は期待しづらいことになる。

「日本株は予想外に下げている」という見方は正しいか

今回の株価の下落局面では、「予想外に下げている」、「日本以外の要因で下げている」といった声が市場で多く聞かれる。

果たして本当にそうだろうか。いまになって株価の下落要因として扱われている中国経済の悪化懸念については、筆者がすでに本欄で何度も指摘してきた通りだ。

日本企業の多くは中国に進出し、中国経済の変動に影響を受けやすい構造になっている。先日も神戸製鋼所が、中国景気の悪化を理由に業績予想の大幅下方修正を発表。第一中央汽船も自力再建を断念したが、中国経済の減速の影響を少なからず受けている。

日本経済新聞の調査などでも、多くの日本企業が「中国の景気減速が業績に大きな影響を与える」と認め始めている。このように、業績下方修正リスクはむしろ第4四半期から顕在化する可能性がますます高まっており、現在は割安に見える株価も、業績の伸び悩みによって逆に割高に変貌するリスクがある。もし今年度下期の業績下方修正が相次ぐようだと、株価の本格的な戻りはますます期待しづらくなる。

海外市場に改めて目を向けてみても、懸念材料が山積している。中国景気の悪化はすでに解説したとおりだが、独フォルクスワーゲンの排ガス規制に関する不正問題や、スイスの資源大手グレンコアの株価急落などの悪材料が繰り返し出始めているのは、マーケットの今後を暗示する「悪いサイン」かもしれない。

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