日本株は本当に下げ止まったのか もし追加緩和があってもサプライズは小さい

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このようなケースでは、株価が再度、突然急落し始めることがある。どういうことか。サブプライムショックからリーマンショックに発展した流れを思い出すとわかりやすいだろう。歴史的な調整局面での、米国株の平均的な下落率は4割程度である。もちろん今回がそのような下落場面になるかはわからない。だがこれだけの悪材料が出始めているだけに、注意が必要であろう。

本格反発の前に大幅下落の懸念

悲観的な話ばかりで恐縮だが、日本株は2012年末に反発に転じ、現在も長期での上昇基調には変わりがない。さらに2020年の東京五輪に向けてこの動きは再度強まり、2019年までに日本株はかなり高い水準をつけるのではないか。そのため、現在の株価調整は、その流れのなかの一環であると割り切ることが重要であると、筆者は考えている。

ただ短期的には厳しい値動きになる可能性があることに警戒しておきたい。急落した後だけに、いったんは反発するかもしれないが、これだけ悪材料が多いと、警戒を解くことはできない。

また「(開いた)窓は必ず埋められる」という。当面は2014年10月に空けた1万6533円の窓や、バズーカ発射直前の1万5701円の窓を埋める下げになる可能性も、今の時点では「まさか」かもしれないが、念頭に入れておきたい。

1万6500円、1万5500円、1万4500円といった具合に、節目を目指して下げる可能性は残っているが、企業業績の下方修正が繰り返されれば、1万4500円の水準でも下げ止まる保証もない。ただし、1万4500円台という水準は過去において何度も重要な節目になっており、ここまで下げればさすがに割安感も出てくるだろう。

筆者は、証券業界では、今年度内に2万円台の回復を見込む向きが依然として多いのが気になる。中国が短期間で景気回復に転じる可能性が低いことや、一度逃げ出した外国人投資家が日本株に戻ってくるのはかなり先になることを考慮すれば、株価の本格的反発の前に調整が先になると考えておくのが賢明ではないか。

今後1週間の日経平均株価の予想レンジは、やや値幅が広いが引き続き1万6500円~1万8000円としたい。

江守 哲 コモディティ・ストラテジスト

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えもり てつ / Tetsu Emori

1990年慶應義塾大学商学部卒業後、住友商事入社。2000年に三井物産フューチャーズ移籍、「日本で最初のコモディティ・ストラテジスト」としてコモディティ市場分析および投資戦略の立案を行う。2007年にアストマックスのチーフファンドマネージャーに就任。2015年に「エモリキャピタルマネジメント」を設立。会員制オンラインサロン「EMORI CLUB」と共に市場分析や投資戦略情報の発信を行っている。2020年に「エフプロ」の監修者に就任。主な著書に「金を買え 米国株バブル経済の終わりの始まり」(2020年プレジデント社)。

 

 

 

 

 

 

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