党内でじわり広がる「石破降ろし」が自民党の"自殺行為"にほかならない理由

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さらに高額療養費制度の見直しについて、石破首相は3月7日に全国がん患者団体連合会、日本難病・疾病団体協議会の代表者たちと首相官邸で面会し、今年8月に予定していた患者負担限度額の引き上げを見送ることを伝えた。これが「政治的英断」ではなく、「世論に政府が押し切られた」と受け取られたのだろう。

「今なおご理解をいただくに至っていないことを、私自身が実感したところでございます」。3月13日の衆院予算委員会で石破首相は、立憲民主党の野田佳彦代表に認識が甘かったことを吐露している。

同制度をめぐっては、2月14日には同じ病気について1年間に3回以上高額療養費制度を利用した場合に4回以降は負担が減少する「多数回該当」を見直しから除外した。そして3月4日には「8月の改定は実行するが、それ以降は来年秋に検討する」としていた。さらに今回、3度目の対応の変更を余儀なくされた。このため、参議院に送られた2025年度予算案は再修正されることになった。

そうしたことが影響しているのか、前述のNHKの世論調査では石破内閣の「不支持の理由」として、「政策に期待が持てないから」が39%と最も多かった。また「年収103万円の壁、160万円への引き上げ、国民と合意せず」についても、「あまり評価しない」(32%)と「まったく評価しない」(18%)を合わせると、消極的な評価が半数に及んでいる。

自民大敗の"そもそもの原因"は何か

一方で、自民党の政党支持率も芳しくなく、3月調査の数字は前月から2.1ポイント減の29.2%となり、内閣支持率(36%)より低い。はたしてこれで、「石破首相は“党の顔”にふさわしくない」と言えるだろうか。

そもそも昨年10月の衆議院選挙で自民党が大敗したのは、派閥のパーティー券をめぐる「政治とカネ」の問題が原因だ。岸田文雄前首相はその責任を取り、8月14日に「自民党が変わることを国民の前にしっかりと示すことが必要だ。変わることを示す最もわかりやすい最初の一歩は私が身を引くことだ。来たる総裁選挙には出馬しない」と宣言した。

実際、岸田政権の退陣時の内閣支持率は20%と、第2次安倍晋三政権以降で最低を記録した。内閣不支持率の60%も過去最悪の数字というありさまでは、その翌月に行われた衆院選で自民党が大勝できたはずがなかった。

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