Mac最上位とエントリー機がAIフォーカスな理由 量子化データ処理へ向けた戦略

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例えば「半径10cmの球体を100個ランダムに配置し、それぞれに異なる色を割り当てるC4Dスクリプトを書いて」とLLMに依頼すれば、対応するCinema 4D用Pythonコードが生成さて、カメラワークを指示すればそうした設定も行われる。

LLMをコーディングに使う事例は、当然ながらXcodeなどの開発ツールでも行えるだろうが、映像クリエイションの世界ではプログラムが不得手なクリエイターもいると想像される上、そもそも純粋な創作に集中できる利点も大きい。

こうした大きなメモリを展開し、CPU、GPUなど異なるプロセッサで共有することで性能や機能を向上させることができるのはアップルのユニークなユニファイドメモリがあるからこそだが、さらに多くのメモリを搭載することで“ローカルLLM”+“業務・クリエイターアプリ”を同居させる使い方が見えてくる。

AI PC時代に生きる独自性

M3 Ultraにおける事例は少々、極端なものだが、長期的に見ればさまざまなパーソナルコンピュータにおける次世代のトレンドを示唆している。
AIの活用が進むほど、参照するモデルのサイズは大きくなる、あるいはその種類が目的ごとに多様化するだろう。その際にロードしておくメモリ領域を確保し、CPU、GPU、推論エンジンで共有できるようにしておくことの重要性は、今後さらに高まるだろう。

すでに各社そうした方向に舵を切っているように見えるが、PCを主戦場とするインテルやAMDの製品はメモリシステムをチップ内部に統合できないほど大きなシステムとアーキテクチャを共有しており、スマートフォンを主戦場とするクアルコムはスケールアップを図るための足場がない。AI時代の覇者であるNVIDIAはデータセンター向け需要で今後も伸びるだろうが、パーソナルコンピュータ向けの技術基盤は持たない。

今回の2つの製品は両極に位置する製品だが、AIがPCに組み込まれる中で、アップルが自社チップの独自性を活かしやすい分野と言える。だからこそ、ここを極めようとしているのだろう。

左がMac Studio、右が新しいMacBook Air(筆者撮影)
本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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